■言葉の魔術
民主党の行政改革調査会が現在102ある独立行政法人を65法人に減らし、17の特別会計(特会)を11にする統廃合案をまとめた、と報道されています。
新聞の見出しには4割減と大きく書かれています。
これだけ読んで、多くの人は行政改革が動き出すと思うでしょう。
そこに、言葉の魔術があります。
よく読めばわかりますが、本当になくなるのはほんの僅かです。
統合や移管で、ほとんどは残ります。
場合によっては予算が増えるかもしれません。
政府の事業仕分けを傍聴に行った知人が、あれは「焼け太り」ならぬ「焼かず太り」だと怒っていましたが、形は変わりますが、たぶんほとんど何も変わらないでしょう。
そういえば、つい2日前の新聞にはこんな記事も載っていました。
2012年度の政府予算案に盛り込まれた独立行政法人向けの支出は、11年度比4.1%増と発表した。野田政権は消費増税法案の提出を控え、独法の4割削減を検討しているが、新年度の支出は増える見通しとなった。言葉とは便利なものなのです。
議員削減の場合は、もっと恐ろしい内容が込められています。
今の民主党の案は、与党が有利になるような仕組みになっています。
量が質に転ずる典型的な例です。
少数野党にはきわめて不利に働く仕組みですが、多くの人は定員削減に反対する野党を非難するでしょう。
言葉は同じでも内容が全く違う場合が少なくないのです。
「国を守る」も同じです。
国をどう捉えるかで、国を守るということが国を壊すことを意味することもあります。
「消費税増税」もそうです。
時間軸をいれずに語ることで、実態が見えなくなります。
さらに、前にも書きましたが、消費税増税と税収増かも全く違う意味の言葉です。
そうしたように、あまりにも言葉がいい加減に使われ、小賢しい人たちが言葉を使って魔術をかけている。
最近のマスコミの報道を見ているとそんな気がしてなりません。
言葉は吟味して使わなければいけません。
念のために言えば、これは「言葉の定義」をはっきりさせろということでもありません。
言葉とはそういうものだということです。
そして統計や数値を扱う人は信じてはいけないということです。
| 固定リンク
「政治時評」カテゴリの記事
- ■沖縄ではもう戦争の姿が見えてきている(2023.03.23)
- ■北朝鮮のミサイル発射報道のたびに軍艦「天安」沈没事件を思い出します(2023.02.20)
- ■ドラマ「ガラパゴス」を観て心が揺さぶられました(2023.02.15)
- ■湯島サロン「市会議員選挙に立候補して考えたこと」報告(2023.02.01)
- ■国家の安全保障のために政府には「機密」があってもいい、という「常識」(2023.01.26)
コメント