■金は天下の宝もの
私は、できるだけお金から距離を置く生き方をしてきました。
そのおかげで、あまりお金がなくても豊かに暮らせるようになっています。
いろんな人に支えられてのことですが。
しかし、いま、お金を貯めておけばよかったとちょっと思っています。
金は天下の宝ものとはよくいう言葉であるが、悪人が金をもてば人を苦しめると同時に自分自身も苦しむのである。これは、鎌田茂雄さんの「正法眼蔵随聞記講話」に出てくる文章です。
それに反して善人が金をもてば人を助けることができるし、その人自身も人生を楽しむことができる。
私が、ここでいう「悪人」か「善人」かは、自分ではわかりません。
お金を持てば、それがわかると思いますが、残念ながらその機会はありませんでした。
しかし、悪人の可能性も強いので、お金にはできるだけ近づかないようにしてきたのです。
実は、時々、迷いは生じるのですが。
ところが、数日前に、知人が会社の資金繰りで相談に来ました。
資金を貸してくれという相談ではありません。
私のことを知っている人は、そんな相談ではやってきません。
事業をやめてしまうかどうかの迷いを整理するために私と話したかっただけでしょう。
彼は、人生を思い切り変えてしまうシナリオも考えていました。
しかし話していて、お金があれば事業を諦めずに再興できる可能性があることを知りました。
しかもそのお金は、さほどの金額ではありませんでした。
そこで、お互いの周りの人に声をかけて、1口50万円ずつ集める案を出しました。
そしてさらに成り行き上、その半分を私が集めることを約束してしまったのです。
友人知人に声をかけました。
ある友人は、私のためならいくらでも出すが、私の知人のためなら協力はしない、お前もお金を出すな、と怒られました。
私の生き方をよく知っている友人なので、彼の言っていることはよくわかります。
事業が必ず再興できるわけではありません。
詳しいことを聞いても、私には評価能力がありません。
私はただその知人の苦境を聞いて、黙っていられなかっただけなのです。
冷静に考えれば、あまりにもリスクが大きいです。
娘たちは、お父さんはいつも思いつきで動くのでやめたほうがいいというのです。
娘たちは、私の過去のことを知っていますから、反論はできません。
しかし、成り行き上とは言え、決めたことです。
娘にも協力してもらい、私が集められるお金を集めました。
そして2人ほど協力してくれる人も現れました。
最低限の資金は集まりました。
鎌田茂雄さんは「正法眼蔵随聞記講話」でこう書いています。
金の魔力は金によって相手を縛る。そうなってしまっては、私の行為は意味がありません。
また自分も縛られる。
金を与えた者も受けた者もともに縛られてゆく。
私の生き方が試されているような気がしてきました。
今回の知人の事業が再興したら、彼の協力も得て、事業応援結い基金を立ち上げたいと思っています。
数十万円、数百万円で、人生を狂わせてしまう人がでないような、そんな結い基金を実現したいです。
それができれば、私は善人であることが安堵できます。
まあそれが何だという気もしますが。
ちなみに、昨日、テレビで高額の詐欺事件である人が逮捕されたことを報道していました。
もしかしてと思って調べてみたら、20年ほど前にやってきた人でした。
付き合いが途切れていましたが、とても残念です。
よほどお金に困っていたのでしょう。
付き合いが途切れていたことが残念です。
今日は複雑な1日でした。
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