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2012/04/08

■吹田の合戦でのやりとり

今日は、脱原発と雇用確保は対立したものではなく、むしろ脱原発は雇用拡大につながるということを書く予定ですが、どうもそこに行く前に書きたいことが出てきてしまいます。

昨夜、古い本がまた1冊出てきました。
武谷三男編の「安全性の考え方」(岩波新書)です。
出版されたのは1967年です。
その本の原子力の教訓と言うところに「吹田の合戦」という面白い話が出てきました。
1957年(昭和32年)に京都大学や大阪大学の学者たちが宇治や高槻に原子炉を設置するという動きがあったのですが、それを知った市民たちが反対運動を起こし、吹田市役所で京大・阪大の原子炉当事者と立大の武谷教授との立会討論会が開催されたのです。それが「吹田の合戦」と言われたのですが、その時の速記録の一部が引用されていました。
実に面白いので、長いですが、一部を引用します。
笑えます。

立教大学教授武谷三男氏     
文明の利器、特に原子力というものは非常な危険を内蔵しているものであります。ですから、これを簡単に扱ってもらっては困るんです。原子炉は絶対安全というようなことをおっしゃっている方がどうやらいらっしゃるようです。安全ということも大変疑問であります。安全でないからこそいろいろの防御設備をして、鉄の容れ物に全体を入れてみたり、いろいろ苦心惨憺するのであります。ですから、それを軽々しい態度で、こうやれば絶対安全、ああやれば絶対安全というようなことを言うのは非常に間違った態度であります。それは原子炉の本質的な問題を御存じない、原子炉の構造をいろいろトレーシソグ・ペーパーでお描きになったことはあるかも知れませんが、原子炉の根本的な態度、本質的なことについては御存じないと言われてもしようがない。すくなくとも絶対安全とか、また安全とかいうような言葉は言うべきではない。あくまで安全にしたい、する努力をするという態度で何時も言う必要があるのであります。そういう点からいうと、原子炉を置く場所という点についても細心な注意を払わなければならない。こうやれば安全だからどこへ置いてもいいだろうというようなやり方はいけないのであります。一昨年のジュネーブ会議にアメリカの原子炉安全委員会から出しました報告書にも、「原子炉は十年間動かした人でも最初の一日のときのような細心の注意を忘れては危険である。原子炉は本質的に危険なものである。主な川の流域には置いてはいけない。」ということが書いてあります。それから水源地の近くなどというところは避けねばならんということは、大体多くの人も認めていることだと思いますし、私はたとえ人が認めていなくても、私はそういうことはやってはいけないというふうに考えております。それからまた、たとえ絶対安全でも、人々が心配しているというときにそういうものを置くべきではありません。
大阪大学助教授S氏   
ただいまは武谷先生から有益なる精神訓話を拝聴いたしまして、まことにその通りでございまして、今後ともあのお話を肝に銘じてやるつもりであります。原子炉はもちろん核分裂を基礎とするものでございますから、原理においては原子爆弾と変るところがないのでございます。・・・以下略
武谷さんは反対派です。阪大のS教授は推進派です。
S教授が、「武谷先生から有益なる精神訓話を拝聴いたしまして」と話しているところに、事の本質を感じますが、その後の竹谷さんの反撃も実に面白いです。

まあそれはともかく、ここでは2つのことがすでに指摘されているのです。
絶対安全とか、また安全とかいうような言葉は言うべきではないこと。そして原子炉は本質的に危険なものであること。
原発の安全神話など、最初からなかったのです。

しかし、大阪市民や京都市民は、遠くの福井に設置したら自らが安心だと思ったのです。
東京都民は茨城や福島だったらいいだろうと反対の声を次第に立てなくなっていったのです。
当時の本を読めば読むほど、問題はみんな明らかになっていた気がします。
私たちは、それを「豊かな生活」のために、脇に追いやってきたのです。
まずは自らのそうした生き方を反省しなければいけません。
反対行動はそれからです。

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