■節子への挽歌1719:久しぶりの挽歌
節子
最近、気が極度に弱っているのを感じます。
思い当る理由はあるのですが、まあ以前の私であれば、そうたいした問題でもありません。
節子にはよく言いましたが、「それがどう転ぼうと、太陽は回っているから大丈夫だよ」と言えたでしょう。
今も、頭ではそう思えるのですが、どうも心身がついてきません。
不安感で覆われ、何かとても寒くなるような気がするのです。
人の温かさが、ほしいです。
こんなことは、これまで経験したこともありません。
節子がいなくなって今日で1727日ですが、その間のいろんな不安感が鬱積してしまっているのかもしれません。
ある友人は、数日前にあるメーリングリストへの私の投稿を読んで、心遣いのメールをくれました。
いつも前向きで好奇心旺盛なのでネガティブになる発言は 今日の金環日食と同じくらいビックリします。この人は、私以上に前向きで好奇心旺盛の人ですが、私の気配を感じたのでしょう。
でも、佐藤さんもやはり人間だった と思いましたので安心しました。
私は表情はもちろんですが、文章でさえも自分を隠せない性質のようです。
いま調べたら、挽歌は16日に書いて以来、書いていません。
こんなことも初めてです。
これまでは書けなくてもせいぜい2日でした。
それに時評編も書いていません。
挽歌の読者はもしかしたら、心配してくださっている人もいるかもしれません。
すみません。
むしろそれが気になってしまっていたのですが、しかし書けない時は書けないものです。
挽歌を書かなかった間に、アウシュビッツを体験した神経科医のフランクルの「人間とは何か」を、最新版の翻訳で読みました。
フランクルの思いが、とても素直に心に入ってきました。
特に、愛や死に関する記述にはまったく違和感なく、素直に心を開けました。
しかし、同時に、フランクルの言葉に共振しすぎて、沈んでしまいがちになってしまっていました。
極めて俗世間的な難題にもぶつかっていました。
気が弱くなっていたからでしょうが、人への不信感に悩まされていました。
世の中には悪い人などいないのだという、節子も聞き飽きていただろう、私の信念が少し揺らぐほどでした。
それがまた自己嫌悪を呼び起こし、ますます気を削いでいたのです。
まだそうした状況から抜け出たわけではありません。
不安感が心身を覆っている状況もさほど改善されてはいませんが、だからこそ挽歌を書き出そうと思いなおしました。
さて、1週間かけて、挽回しましょう。
節子に向かって、何かを書いていれば、きっと気が戻ってくるでしょう。
止まっていると、ますます心身が冷えていきそうです。
今日も寒い日になりましたが、私のせいでしょうか。
そうかもしれない、そんな気さえするほど、寒いです。
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コメント
佐藤様
挽歌の更新がないので心配していました。
もしかして自死してしまったのではないか、奥さまの後を追われてしまったのではないかなどと考えてしまいました。
そんな風に心配するのも、僕自身が妻を喪って以来、自殺願望に囚われているからです。
僕自身の気持ちを通して、佐藤様の気持ちを推し量った結果、そういう心配に至りました。
自殺願望というと言い過ぎかもしれません。
自殺したいという気持ちではなく、早く死にたい、一日でも早く妻のところに逝きたいと考えています。
自殺願望というより、希死念慮と言った方が適切でしょう。
何はともあれ、佐藤様が挽歌を更新されたことに安堵しました。
ヴィクトール・フランクルの「夜と霧」は、妻の生前から、僕の愛読書のひとつでした。
先日挽歌で取り上げていらっしゃった「それでも人生にイエスと言う」は、読んだことがありません。
今後も読む気にはなれません。
妻を亡くした僕には「それでも人生にイエスと言う」ことができないからです。
イエスと言えない余生をどうやってやり過ごして行ったらいいのか。
暗中模索の日々を送っています。
先の見えないトンネルに入りこんだかのようです。
投稿: ぷーちゃん | 2012/05/25 20:06
ぶーちゃん
ご心配をおかけしました。
私は、節子に会えただけでも、人生にイエスです。
ぶーちゃんも、きっとそうですよね。
しかし、にもかかわらず、別れが早すぎたことへの思いは複雑です。
その点は、私もぶーちゃんと思いが同じかもしれません。
まだまだ私も暗中模索感から抜け出せません。
投稿: 佐藤修 | 2012/05/27 09:47