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2012/06/15

■貿易自由化は誰のためか

どこかおかしいと思うことが、世の中にはたくさんあります。
それについて、少し書こうと思います。

6月10日の日曜日の、NHKのテレビで「トヨタピラミッド」という特集番組をやっていました。
厳しい国際競争の中で、トヨタが海外進出を余儀なくされ、その影響で、トヨタ傘下の関係会社が激震に襲われているというドキュメントです。
トヨタ自動車や関係会社の苦悩はよくわかりますし、そうした中で各社の経営者や従業員も頑張っているのがよくわかります。
しかし、見ていて、やはり、「どこかおかしい」と思い続けていました。

まずおかしさに気づいたのは、トヨタの豊田社長が立ったままペットボトルの水を飲んでいる風景です。
私なら座って珈琲を飲むのに、あるいは美味しいお茶を淹れて飲むのに、トヨタの社長ともいう人がペットボトルの水を直接飲んでいるのが、おかしく感じたのです。
たまたまの様子を、絵になるからといれたのかもしれませんが、しかしそれが象徴するいまの人々の働き方に、私は首を傾げたいのです。

真面目に働いてきた二次下請けの会社が廃業を決めたという場面も出てきます。
真面目に働いてきたのに、なぜ会社を締めなければいけないのか。
これもやはりどこかおかしいと思うのです。
真面目に働いている人たちが報われない社会は、どう考えてもおかしいのです。

登場する人の多くは、コスト競争力に勝っていかないと生き残れないといいます。
これは昨今の「常識」かもしれません。
しかし、なんで生き残りをかけるほどしのぎを削ってコストダウンしなければいけないのか。
「生き残る」とは、いったい何なのか。いやその前に、生き残るのは「何」なのか。
真面目に働いている人が、きちんと生きていけることこそ、大切ではないか。
戦争でもあるまいし(戦争と言う人もいますが)、生き残りをかけてなどという「物騒な言葉」を使わないでほしいものです。

一時下請けの会社の社長の苦悩も紹介されました。
リストラし、大きなリスクを背負いながら海外進出を決めた、その社長の最後の言葉は見ていられないほどでした。
涙をこらえていたようにさえ感じました。
その社長は本当に幸せなのだろうか。
そう思いました。

人件費の安い途上国に企業はどんどん進出しています。
しかし「人件費が安い」とはどういうことでしょうか。
その国の生活のために必要なお金と貿易自由化が実現したグローバルな市場で売買される商品価格のコストの要素になるお金とは、同じものでしょうか。
生活のためのお金と商品製造コストのお金とは、実は全く違うはずです。
前者はローカルな地域社会に立脚していますが、後者は世界単一の通貨的市場に立脚しているのです。
そして市場を世界的に画一化しつつあるのが、貿易自由化です。
貿易自由化は、ローカルな地域の生活社会を壊しこそすれ、支えてはくれません。
にもかかわらず、みんな貿易自由化がいいものだと思い込んでいます。
特に現場を知らない優等生たちは、そう思っているでしょう。
TPPの意味をみんなわかっているのだろうかと思います。

コストダウン発想は私たちを決して幸せにはしないでしょう。
このテレビ番組を見てから、どこかおかしいという思いが頭から離れません。

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