■節子への挽歌1762:けだるい昼下がり
節子
今日も夏のような暑い日になりました。
梅雨なのに、雨が降りません。
久しぶりに湯島のオフィスに来たら、植物がみんな元気ありません。
部屋を閉め切ってしまっていたせいかもしれません。
私はいつもベランダ側のドアを少しだけ開けておくのですが、最近いろんな人が使うので、閉める人も多いのでしょう。
しかし、密閉空間になると生き物は生きていけません。
湯島には盗まれて困るようなものは何もありませんから、むしろ開けっ放しにしたいところですが、そうもいきません。
植物はベランダに出せばいいのですが、夏の日照りは強いので、それもできません。
やはりこまめに来て、声をかけるのが一番です。
これはけっこう面倒なのです。
今日は午後、2組の来客がありました。
いずれも節子も知っている、以前のサロンの常連です。
湯島に来る人たちは、節子がいた頃とは一変していますが、時々、昔の人もやってきます。
いつもは、来客と来客の間まで埋めてしまうのですが、最近はできるだけ間をとるようにしています。
その間、ボーっとしていることが多いです。
今日も先ほどから、しばらく東京の空を見ていました。
空の向こうに彼岸があるのでしょうか。
空を見ていると、何となくそんな気がしてきます。
そういえば、以前も節子と一緒にこんな時間をどこかで過ごしたことがあったような気がします。
たぶん北茨城の海でした。
アポロが月面着陸した翌日でした。
暑い日でした。
夏のようなけだるい昼下がり。
あの時は、波の音が聞こえていました。
今日も耳を澄ますと、波の音が聞こえてきます。
今日、やってきたFさんは、佐藤さんはあの世とこの世を行き来しているからと言っていました。
もしかしたら、そうなのかもしれません。
次の来客までまだ1時間近くあるでしょう。
この挽歌をアップしたら、もう少し波の音を聞いていようと思います。
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