■節子への挽歌1753:人間はやれることしかやれないのだから
前の記事と大きく矛盾することを書きます。
実はほぼこの2つの記事は続けて書いています。
私の中に、2つの矛盾する気持ちがあるからです。
この挽歌を読んでくださっている人には伝わっているかもしれませんが、この1か月ほど、私はあまり精神的に安定していません。
書いていることも、たぶん矛盾だらけで意味も不明瞭だと思いますが、それが正直な現状です。
しかし、そうした中でも、何かしなければいけないとか、誰かに頼まれたことは応えなければいけないとか、きちんと意味のある人生を送らなければいけないとか、そんなことに呪縛されているのです。
私はかなりわがままに生きていますし、周りにもやりたくないことはやらないと明言してきています。
しかし、その言動とは裏腹に、どこかに「お天道様に顔向けできるように」「節子を裏切らないように」という、奇妙な規範意識が無意識にいつも働いているのです。
昔からそうですが、予定を書いた手帳が白いとなぜか罪悪感が生まれるのです。
そのくせ、自分では、そういう生き方はやめなければいけないと思っている。
時々、心身が動けなくなるほど疲労感に襲われることもあります。
節子がいた頃は、節子がそれを癒してくれました。
しかい、いまはそれもありません。
一人で、背負い続けなければいけない。
私のようなひ弱な人間には、それなりに辛いことです。
別に肉体的に疲労するわけではありません。
たいした悩みを背負い込むわけでもない。
しかし、なぜか疲れてしまい、にもかかわらず、やらなくてもいいことを引き受けてしまう。
これは性分なのか、節子がいなくなった心の空白を埋めるためのものなのか、最近少しわからなくなってきてしまいました。
それに、やったところで、喜んでくれる人がいるわけでもありませんし、何かをもらえるわけでもなく、社会が変わるわけでもない。
しかも、昔のような充実感や達成感は全く得られません。
それがなぜかはわからないのですが。
すべてを投げ出したい気になることもある。
最近、少し無理をしているのかもしれません。
そんな気がしてきています。
人間はやれることしかやれないのだから、無理は厳禁です、というのが私の口癖です。
しかし、いつの間にか自分にだけは、そうなっていないのです。
誰も言ってくれないからです。
それは当然です。その役割を果たす節子がいないのですから。
だとしたら、自分で自分に言うしかない。
「人間はやれることしかやれないのだから、無理は厳禁」。
明日は約束していた集まりも、約束していた用事も、すべてキャンセルすることにしました。
それで誰かが迷惑を被っても、しかたがありません。
明日は晴れるといいのですが。
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コメント
心身が動けなくなるほどの疲労感…
来週の6月27日で、妻が亡くなって2年になります。
その間、感じてきたのは、佐藤さんがおっしゃる「心身が動けなくなるほどの疲労感」です。
妻が亡くなった日以降、より正確にいえば、妻が癌だと分かった日以降、ずっと取りつかれていた感覚です。
それでも妻の闘病中は僕の身体もよく動きました。
妻を助けたい、妻の感じていたであろう死の恐怖を少しでも和らげてあげたい。
そういう気持ちが僕を突き動かしてきました。
心の中は、いわゆる予期悲嘆で満たされていましたが、それでも妻を守りたいという気持ちが僕の心身にエネルギーを与えてくれました。
妻が亡くなった日から、この「心身が動けなくなるほどの疲労感」を常に抱えています。
もう何もかも、すべてがどうでもいい。
妻が亡くなって1年と少し過ぎた後、去年の10月から仕事を休職しています。
精神科のクリニックから出された診断書には「抑うつ状態」とありました。
休職してから8か月ほどになりますが、この間、朝から晩まで酒を飲み続けます。
酔えないけれど、酔うために飲んで、妻のいない寂しさを少しでも紛らわそうとしています。
食事も一日一回取るのがやっとです。下手をすれば一日中、何も食べられない日もあります。
風呂など入る気力もない。週に一度、シャワーを浴びるか風呂に入るのがせいぜいです。
前回の挽歌の「心理的ゾンビ」。
やはり僕は、妻を喪って、生ける屍になったのだなと感じます。
投稿: ぷーちゃん | 2012/06/21 17:02
ぶーちゃん
一度、会いませんか。
投稿: 佐藤修 | 2012/06/21 17:11