■農業と福祉のつながりを考えるサロンの報告
7月18日に開催した「農業と福祉のつながりを考えるサロン」の簡単な報告です。
最初に、農業と福祉の実践者である宮田さんから、「なぜいま作業所で農業なのか?」というテーマで話をしてもらいました。
福祉と農業がつながることによって、それぞれが抱えている問題が解決できるのではないか、そしてそれがさらに社会を変えていく大きな動きにつながっていくのではないかというのが、宮田さんからのメッセージです。
たとえば、日本の農業は「担い手の高齢化」と言う現実の問題に直面していますし、最近のグローバル経済の流れの中では「経済的競争力」を失いつつあります。
宮田さんは、「農業から外化した工業」がオイディプスのように農業を壊してきた。
しかしここにきて、それに抗する動きとして「市民農業運動」が始まりだしたといいます。
宮田さんは、農業こそを社会の根源的基盤にしなければいけないと考えているのです。
そして、こうした動きを加速するためにも、「福祉作業所農業」が大きな意味を持っているというのです。
実践したことのある人はわかるでしょうが、農業のリズムと福祉のリズムはつながっています。
いずれも生命のリズムにつながっているからです。
また福祉も農業も、その内容の多様性に特徴があります。
こうした生命(自然)のリズムや多様性は、効率性を追及する工業では排除されるべきものです。
宮田さんは、また、農業のもつ教育力や福祉力にも注目し、福祉的就労と農業のつながる意味を重視しています。
そして、「福祉作業所は、農業を社会の根源的基盤として捉え直す大きな運動の重要な担い手だ」という問題提起をしてくれたのです。
この問題提起に基づいて、行田や浦和や野田で活動されている参加者それぞれが実践していることの紹介もしながら、自由に話し合いました。
話題はいろいろと飛びましたが、大きな理念という点では共有が深まったように思います。
私にとっては、久しぶりの農業談義でした。
農水省の方もお2人参加していたので、いくつかの疑問を投げかけさせてもらいました。
答弁的でない話し合いができたのも、とても刺激的でした。
お2人とも、日本の農業が好きなのだと感じました。
これを契機に、ゆるやかなネットワークを立ち上げ、9月にまたサロンを開きたいと思っています。
できればミニフォーラムも開催したい気がしてきました。
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