■言葉は実体を覆い隠すものでしかありません
今月はじめに昨年津波に襲われた相馬のはらがま港に行ってきました。
港界隈の集落の住居はすべて津波に流されてしまっていました。
ところが、その一画に、墓地だけがきちんと修復されていました。
それがとても印象的でした。
後で、その地域に住む漁師の方から、自分の住む家よりもまずは先祖の墓を整備したという話をお聞きしました。
それが私たち日本人の生き方だったなあ、と納得しました。
今日、テレビで、今回の集中豪雨の被災地で、自分の家の整理もままならないのに、地域のお祭りに取り組んでいる人たちの話を見ました。
先祖から伝わってきている伝統の祭をおろそかにできないと言うことなのでしょう。
これも実に感動しました。
お祭りの結果、支え合う人のつながりによって、みんなが元気を取り戻してきたという話もついていました。
3.11以来、「絆」とか「つながり」とかが盛んに言われます。
その言葉を聞けば聞くほど、私は虚しくなります。
言葉が大切ではないからです。
言葉を多用する人ほど、実体は無いということを、私は長年の人生で実感しています。
言葉は実体を覆い隠すものでしかありません。
しかし、上記の墓地や祭の話には実体を感じます。
人のつながりを支えているのは、自然や先祖(あるいは子孫)です。
大きな生命のつながりのなかで、私たちは生きています。
つまり、その人の生き方に支えられているのであって、名刺交換したら生まれるようなものではありません。
それを勘違いしている人が多すぎます。
大切なのは、生きる実体です。
言葉だけで動いている最近の社会に、大きな危惧を感じています。
いまこそ「正名」が大切だという安冨さんの主張に。改めて共感する毎日です。
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