■節子への挽歌1823:日本いちじく
節子
福岡の蔵田さんが、日本いちじくをどっさりと送ってくれました。
蔵田さんは、人に何かを贈るのが大好きなのです。
いろんなものが次から次へと送られてきます。
私は、それを素直にいただいています。
いちじくの事は、前に書いた事があるでしょうか。
挽歌を5年近く書いていると、たぶん同じ話題が重なることも少なくないかもしれません。
節子はいちじくが嫌いでした。
ところが、転居前の家の庭に、兄からもらったいちじくの木を植えました。
そのいちじくを食べてから、節子はいちじくが大好きになりました。
ただし、わが家の庭になるいちじくだけが、です。
日本いちじくでした。
転居して、その木を庭に挿木しました。
木は大きくなったのですが、なぜか実が熟しません。
場所が悪かったのかと、植え替えました。
やはりだめでした。
わが家の畑にまで植えてみましたが、木は大きくなっても実が熟さないのです。
節子が闘病中に、いちじくを食べさせたくてがんばりましたが、なぜかわが家のいちじくは美味しい実をつけませんでした。
そんなわけで、日本いちじくには複雑な思いがあります。
先日も娘がおいしそうないちじくを見つけて買ってきました。
節子に供えながら、食べてみましたが、見栄えはいいのですが、美味しくありません。
やはり、いちじくは日本いちじくです。
その日本いちじくが、どっさりと送られてきたのです。
やはり美味しいです。
節子にも早速、供えさせてもらいました。
福岡の蔵田さんに電話しました。
蔵田さんは、なんと畑仕事中だったようです。
これからねぎを植えるのだそうです。
東京の大企業を定年でスパッと辞めて、郷里に帰って畑仕事。
いまは自然に恵まれ、奥様と一緒に晴耕雨読の豊かな暮らしぶりなのでしょう。
節子と一緒に、そういう暮らしをしたかった、と改めて思います。
ところで、わが家の日本いちじくが実を熟させなくなってしまったのは、転居してからです。
考えてみると、転居してから、わが家には辛いことがいろいろと起こり出しました。
ここの地霊を怒らせてしまったのでしょうか。
畑に植えたいちじくが昨年、雑草に覆われて枯れてしまいました。
もう諦めていましたが、最近、周りの雑草を刈り取ったら、その下から若木が芽生えだしていました。
今度は、いちじくを熟させてくれるような気がしました。
節子の身代わりかもしれません。
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