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2012/08/22

■節子への挽歌1816:「美香と一緒に帰ります」

節子
また紛争地域で取材中だったジャーナリストが殺害されました。
そのことに関しては、今日の時評編で話題にしました。銃弾に倒れたのはフリージャーナリストの山本美香さんです。

山本さんは、ジャパンプレス代表の佐藤和孝さんと一緒に、内戦状態のシリアを取材していました。
その最後の映像が今日、テレビで放映されました。
通りを歩く子ども連れの家族の風景が、「かわいい」という山本さんの声と一緒に映し出されていました。
近くの銃撃の音に、アパートのベランダに立つ女性や子どもの姿もありました。
そして、「人に向かってやみくもに撃っている」「あれほどの空爆が続いているのに、人が生活しています」といった山本さんの肉声も残されていました。
その直後、4発の銃声と共に、画面が乱れて終わりました。
山本さんが倒れた瞬間だったかもしれません。

取材に同行して、すぐ近くにいた佐藤和孝さんは、銃撃を受け咄嗟に身をかわしましたが、数メートル前にいた山本さんを見失いました。
そして病院に収容されて、すでに息を引き取っていた彼女に会うことになってしまったのです。

佐藤和孝さんは、今日、テレビでその時の様子などのインタビューに答えていました。
インタビュアーが最後に質問しました。
これからも取材を続けるのですか。と。
佐藤和孝さんは、すぐ答えました。
これまでも一緒に取材に来て、一緒に帰っていました。
今回も美香と一緒に帰ります。
涙が止まりませんでした。私の涙ですが。

佐藤和孝さんのインタビューは昨日から何回か聞きました。
山本美香さんは、佐藤和孝さんの伴侶だったように思います。
信頼し、愛し合っているパートナーという意味です。
実際に、佐藤和孝さんはある質問に答えて、山本美香さんを「最愛の人」と呼んでいました。
2人がどういう関係にあったのかどうか、私は知る由もありませんが、かけがえのないパートナーだったのです。

先の質問に対して、佐藤和孝さんはジャーナリストとして、「山本さんの意志を継いで真実を伝えるために取材を続ける」と答えるかもしれないと、私はその時、思いました。
しかし、彼はそんなことなど微塵も思いつかなかったのでしょう。
彼の誠実さが伝わってきました。
なぜか、山本美香さんは幸せだったのだろうなと思いました。

山本美香さんのご冥福を祈るとともに、佐藤和孝さんの平安を祈ります。

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