■節子への挽歌1790:セミの羽化
節子
朝起きると、わが家の小さな庭にセミの抜け殻が見つかる時期になりました。
10日ほど前から、セミが賑やかになってきています。
一昨日の午後、庭の芝生を歩いているセミの幼虫に出会いました。
しかも1匹はアリに囲まれて転がっていました。
何とか救出して、アリを振りほどきましたが、すでに前足が変形していました。
セミの幼虫はとてもやわらかく、触っただけで変形して羽化できなくなります。
もう1匹は幸いに無事でしたので、庭の木にくっつけました。
子どもの頃、夜に公園などに出かけていって、穴から出てきたセミの幼虫を探した記憶がありますが、羽化の様子がしっかり見た記憶はそう多くはありません。
しかし、それは実に神秘的で、感動的でした。
節子も、子どもの頃、よく幼虫探しに行ったそうです。
セミの穴に水をいれて、浮かび上がらせ、幼虫をだめにしてしまったことを後悔していたと娘から聞きました。
たぶん私も同じ話を聞いたことがあるのでしょうが、すっかりと忘れてしまっていました。
ただ夏休みに家族で節子の生家に行った時、みんなでお寺の境内に幼虫探しに行った記憶があります。
その時に節子は話したのでしょう。
ところで、一昨日の幼虫は、1匹はみごとに羽化しました。
羽化するまでの経過は、時間がかかりましたが、実に神秘的です。
その途中の姿は、天使のように見えました。
1匹は残念ながら羽化できませんでした。
しかし、なぜかこの日は、夜にもまた幼虫が出てきて、幼虫ラッシュでした。
翌朝、その幼虫も抜け殻を残していました。
人は「羽化」するのでしょうか。
魂は飛び立つのでしょうか。
そうであればいい、と思います。
今朝もミンミンゼミが大きな鳴き声を響かせています。
節子には聞こえているでしょうか。
今日も暑くなりそうです。
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