■「つながり」とはなにか
福島県で有機農業に取り組んでいた人から先月、お聞きしたことですが、原発事故による放射線汚染で、それまで一番つながりの深かった人たちが最初に離れていったそうです。
それがとてもさびしかったと、その人は話してくれました。
有機農業による農産物を購入している人はなによりも「食の安全性」を重視していますから、放射線汚染の恐れのある食材はとても購入はできないでしょう。
ですから、たとえ有機農業によるものであっても、福島の野菜は買わなくなるのはわからなくはありません。
しかし、どこかにおかしさがあります。
たぶんそれは、このつながりが生産者と消費者の関係だけのつながりだったからでしょう。
私食べる人、あなたつくる人というわけです。
そこには、お互いの生活を分かち合うという視点がありません。
それはまさに「近代的なつながり」です。
私は、こうした「つながり」に根本的に疑問を感じています。
最近、絆とかつながりとか支え合いという言葉が流行していますが、そうした言葉が意味する関係性の持ち方がとても気になります。
肝心な時に切れてしまう「つながり」や、良いとこどりの絆は、ビジネス契約とそう違いません。
放射線汚染に見舞われた有機農業に取り組む人たちの生活を支え、一緒になってその再建に取り組むような関係性こそが、いま求められているように思います。
たとえば、福島の農家の方々が放射線汚染に襲われたのであれば、逆に安全な食材を送ってやるような関係です。
それが「支え合う」と言うことです。
支え合う関係は、問題を共有するということでしょう。
地域が支える農業(CSA:Community Supported Agriculture)という活動があります。
昔、北海道恵庭市の農政課長(当時)だった中島興世さんの教えてもらいました。
そこでは農業者と地域住民が一緒になって農業を守ろうとする思想がありました。
農業が不作であれば、消費者もまたその被害を分かち合うわけです。
福島の有機農業をやっている方の話を聞いて、そのことを思い出しました。
農業は自然とのつながりのなかで、自然と分かち合いながらの生業でした。
そこに、最近の流行語とは違う「つながりの精神」があるように思います。
そんなことを思いながら、農業と福祉を重ねて考えるネットワークを立ちあげることにしました。
今日は、その準備会を開催します、
ネットワーク構想がまとまったらまた案内させてもらいます。
どんな活動になっていくか、楽しみです。
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