■節子への挽歌1820:ユリの季節
節子
今は岐阜にいる佐々木憲文さんが節子に大きなユリの花束を持ってきてくれました。
節子が好きだったカサブランカもどっさりありました。
節子にお線香をあげながら、佐々木さんは以前、家族みんなでわが家の来たことを話されました。
家族とは、奥さんの典子さんと娘のパルとミホです。娘は佐々木さんたちの大好きな愛犬です。
その時はすでに節子は再発し、あまり動けませんでした。
佐々木さんたちは韓国が好きで、数年前に韓国に転居しました。
節子がいたら、佐々木さんのところに押しかけたかもしれません。
節子は、韓国には行った事がありませんでしたから。
佐々木さんが可愛がっていたパルが韓国で亡くなってしまいました。
悲しみに浸る佐々木ご夫妻のために、韓国の友人知人が盛大な葬儀をやってくれたようです。
そんなところに、佐々木ご夫妻のお人柄がうかがえます。
さらに佐々木さんの奥さんの母上が病に倒れ、ご夫妻は郷里の岐阜に戻ってきていました。
悲しいことに佐々木さんのお母さんも先月、旅立ちました。
四十九日法事に向けて、今は毎週、法事を重ねているそうですが、そんな合間にわざわざ出てきてくれたのです。
佐々木さんとの会話は、しかし、いつもと同じようでした。
私自身の体験から、それがいちばんいいように思えたからです。
佐々木さんとの話題は、いつもだいたい決まっています。
しかし何となくいつものように、自然に話が進まない気がしました。
それもまた自然のことなのでしょう。
佐々木さんは大きなユリの花束を抱えてやってきてくれました。
わが家も、ユリはできるだけ供えるようにしていますが、それに重なって、位牌の前はまた白いユリの世界になりだしました。
9月3日は節子の命日です。
この時期は、わが家はユリの香りで包まれるのです。
ユリの香りは大好きなのですが、白いユリを見ているとなぜか悲しくなってきます。
深く深く悲しくなります。ただ意味もなく、です。
節子は今も彼岸で白い花の手入れをしているでしょうか。
そう教えてくれた大日寺の庄崎さんの言葉も思い出されます。
ユリはやはり、この世の花ではありませんね。
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