■シャープの経営不振に思うこと
シャープの経営が揺らいでいます。
一時期、世界を制覇したかにみえた亀山工場の土地建物にも追加融資の担保としての根抵当権が設定されたことも明らかになりました。
金融資本の傘下に、シャープもまた組み込まれ、実体を失っていくでしょう。
実に残念です。
わが家のテレビはシャープの亀山モデルです。
私は以前からシャープファンだったのですが、亀山モデルあたりから実はシャープ嫌いになっていました。
しかし、娘が亀山モデルを買ってしまいました。
DVDレコーダーもセットのシャープ製品ですが、私が使っている体験では明らかに品質的に問題がありそうです。
世界の評判を受けていた時代の商品でさえ、すでに品質は落ちていたと、私は思っています。
まあそれはたまたまわが家の商品が「はずれ」だったからかもしれませんが。
それはともかく、かつてあれほど世界に評判だったシャープが、なぜこれほどひどい状況になったのでしょうか。
目先の管理はあっても、大きな経営がなかったからだと私は断言できます。
しかし、こうしや経営の乱高下は、シャープに限ったことではありません。
前にも書きましたが、業績がこれほど乱高下する企業のあり方、あるいは経済のあり方が問われなければいけません。
もし企業が社会としっかりとつながり、そこで働く人たちやお客さんともしっかりとつながっていたら、こんなことは起こりません。
経済が、実体とつながっていたら、こんな経済危機など起こりません。
まさに昨今の経済は、カジノ資本主義とさえ言われるように、金融資本の道具に成り果てているのです。
そして、人間から生活を取り上げ、「労働者」や「消費者」にしてしまっています。
「労働者」や「消費者」の理想形は「無産者」であることはいうまでもありません。
格差社会は必然的に起こり、いじめや不安は社会を覆いつくすでしょう。
経営者は、この流れを変えなくてはいけません。
一昨日、20年以上、経営道を説き続けてきている友人の市川覚峯さんが湯島に来ました。
私は、市川さんの経営道活動をささやかに応援させてもらっていますが、はじめてからもう25年ほど経ちますが、事態は悪化の一方です。
私から言わせれば、「悪貨が良貨を駆逐する」のたとえどおり、似非経営者が多すぎます。
金儲けが経営だと思っている人が多すぎます。
コストダウンのために、国外に生産拠点を移すなどと言うのは経営とは言えません。
そんな対策なら、コンピュータ計算ではじけばいいわけで、だれでも経営ができるでしょう。
戦後の荒廃した状況の中から、経済大国とまでいわれるようにしてきた時代の経営者は、全く違っていたように思います。
金儲けではなく、社会への使命感や未来へのビジョンをしっかりと持っていました。
今朝、テレビで、亀山工場のあった亀山市の状況が報道されていました。
一時は駅前にずらりと並んだタクシーも、いまは数台のみ。
商店街の人たちをはじめ、住民たちは世界からの亀山工場詣でが盛んな頃も、地元には何のいいこともなかったと言っています。
そういう発言は、自らの無責任さを露呈しているだけの話ですが、こうしただめな住民たちを育てたのも亀山人気だったのかもしれません。
亀山市の税収は増えたと自治体の人は言い。テレビのコメンテーターたちも誘致は成功だったとほめていましたが、私には違和感があります。
ただただお金に振り回されて、地域や地域住民をだめにしただけの話です。
そろそろお金を基準にした発想を捨てなければいけません。
テレビを見ていて、こういう地域が日本全国に増えていて、そこにまた「お金で地域活性化」などと言って、金の亡者たちが群がっていくのだろうなと、嫌な気分になりました。
お金を基準にする発想を捨てたら、どこの地域も、自然と元気になるはずです。
私が時々、うかがっている小美玉市は実に豊かです。
たぶん大企業の工場誘致などにうつつを抜かしてこなかったからだろうと思います。
豊かな文化がしっかりと育っています。
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