■節子への挽歌1833:ジョンのように愛していたか
「スリーデイズ」という映画があります。2010年のアメリカ映画ですが、フランス映画『すべて彼女のために』のリメイク作品です。
原題は「The Next Three Days」。
The Last Three Years そしてThe Last Three の話を踏まえての、3日間の話です。
愛する妻子と幸せな毎日を過ごしていた大学教授のジョンの妻が、突然に殺人容疑で逮捕されてしまいます。
それから3年。ジョンは息子を育てながら、妻の無実を証明するため奔走しますが、裁判で妻は有罪が確定します。
絶望した妻は、獄中で自殺未遂を起こします。
ジョンは「彼女の人生と家族の幸せを取り戻す」と決意します。
そのためには、自分の人生はすべて捨ててもいい。
それからの3か月、彼は、危険にあいながら、さらには法を犯しながら、綿密な脱獄準備を用意していきます。
しかし、突然、妻は長期刑務所に移送されることになります。
移送までの3日間が、脱獄の最後のチャンス。
脱獄計画を嗅ぎつけた警察はジョンの周囲にも捜査の手を伸ばしだします。
そして・・・、という話です。
映画を観ながら共感できたのは、人を愛するということは無条件に信ずることだということです。
私は、愛するとは信ずることだと思っています。
ジョンは妻に「本当に人を殺したのか」と一度も訊きません。
妻もまた「私は殺していない」と一度も言いません。
無条件の信頼関係です。
その愛には圧倒されます。
私に果たしてできるだろうかと思いますが、それができなければ愛とはいえません。
愛は常に無条件でなければいけません。
この映画は、節子と一緒に観たかったと思います。
節子は、たぶん、私を無条件に信じていました。
もちろん私もそうです。
愛しているもの同士には、質問はなくてもいい。
そう気づいたら、とても楽になりました。
なぜなら、節子になぜ問わなかったのかと思う質問が、山のようにあるからです。
それを思い出すたびに、自責の念に苛まれます。
しかし、そう思うこと自体が、節子を悲しませることになるのかもしれないと気づいたのです。
この映画は、偶然に最近テレビで観たのですが、観て以来、頭の中で反芻しています。
実は、ほかにもたくさんのことを考えさせられた映画でした。
悲しくて、苦しくて、でも、どこかに救いがある。そんな映画でした。
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