私も関わらせてもらっているNPO新潟水辺の会の事務局の加藤さんから、信濃川への鮭の遡上が今年は増えているとメールが来ました。
JR東日本が改善してくれた宮中取水ダム魚道では21日現在でもう123尾の遡上が確認されているそうです。加藤さんは戦後最多の鮭の遡上も夢ではないと言っています。
信濃川に鮭を遡上させるプロジェクトは、長年、新潟水辺の会が取り組んできていますが、私は企業との接点をつくることにささやかに協力させてもらっています。
信濃川にはJR東日本と東京電力が、水力発電のためのダムをもっているのですが、そこで水の流れが途絶えたり、魚道が不整備だったりしていたのです。
たまたま両社には、私が経営道フォーラムで知り合った方がいるので、その人たちを通して、NPOと企業との「カジュアルな」関係を育ててきました。
JR東日本との関係は今ではかなり深いものになり、さまざまな面での協力関係が育っています。
改善された魚道の写真を載せますが、私が2年前に見に行った時に比べると大きく改善されています。
それが鮭の遡上の増加につなげっているわけです。
ところが鮭がそこからさらに上に行くためには、まだ課題が残っています。
その上流には東京電力のダムがいくつかあります。
実は、東京電力との関係も育ちだし、ダムからの放出水量も増やしてもらい、魚道の改善の話も進んでいました。
昨年春には鮭の稚魚の放流も一緒にやろうというところまでになっていました。
ところがその1週間前に、3.11の大地震が起こり、それどころではなくなってしまったのです。
震災後も、東京電力の関係者とのミーティングももちましたが、いまや同社は自由には動けない会社になってしまいましたので、関係者は協力的ですが、実際の活動は難しくなっています。
とても残念です。
しかし、少しずつですが、鮭の遡上は増えてきています。
東京電力も信濃川の水量や鮭の遡上には気遣いだしてくれていると思います。
北海道大学の帰山雅秀先生によれば、今年も海水温が高く、鮭の遡上が遅れ、あるいは回遊出来ずに減耗している個体も多いそうです。
私は、単純な地球温暖化論には与しませんが、こうした気候異常はさまざまなところで起こっています。
そういうことも含めて、私たちの生き方そのものを問い直す契機として、日本最長の川である信濃川への鮭の遡上を支援するプロジェクトには象徴的な意味を感じています。
しかもその上流には、東電が管理している尾瀬があります。
今回の原発事故の関係で、尾瀬もまた維持できるかどうかが問題になっていますが、いまこそ尾瀬の意味を問い直す時期にあり、第2の尾瀬プロジェクトにならないかというのが、私が信濃川への鮭遡上プロジェクトに関わらせてもらった動機なのです。
そのプロジェクトを発展させていくためには、全国的な支援体制が必要ではないかと思います。
原発反対のプロジェクトも大事ですが、信濃川への鮭遡上プロジェクトのような形での運動も必要です。
原発の問題は、私たち一人ひとりの生き方や価値観に根ざした問題です。
たしかに原発を推進しているのは政財界やアメリカ資本でしょうが、それを支えていたのは、私たちの生き方なのです。
それを問い質さずして、ただ反対していいのか。
イラク派兵には何のわだかまりもなくデモに行けましたが、原発反対のデモに行くのはどこかにわだかまりがあって、大きな声を出せずにいます。
みなさんはどうお考えでしょうか。
信濃川に鮭を遡上させるプロジェクトは、実に象徴的なプロジェクトなので、多くの人たちに知ってもらい、応援してほしいと思います。
関心のある人はぜひご連絡下さい。
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