■節子への挽歌1880:真夜中に目覚めさせるのは節子かもしれません
節子
最近寝不足が続いています。
わが家の老犬チビ太のせいもあるのですが、それだけではありません。
なぜか真夜中に目が覚めてしまうのです。
目が覚めると、いろんなことを考え出してしまいます。
そうすると今抱えているいろんな心配事が襲ってきて、眠られなくなってしまいます。
そこでついつい枕もとのリモコンを使って、テレビをかけてしまうのです。
といっても、深夜ですので、見るべき番組があるわけでもありません。
無意味にテレビをかけながら、その音声を聞いていると何となく落ち着くのです。
しかしそれで眠れるわけでもありません。
そんなわけで、寝不足が続いています。
節子のことを思い出すこともあります。
今は涙は出ませんが、節子の名前を呼びたくなることはあります。
節子は、隣のベッドで私が本を読んでいるのが好きでした。
私が隣で本を読んでいると安心して眠れるといっていました。
病気になってからの話です。
安心して眠っている節子の隣で、本を読むのは、私も好きでした。
節子が病気になってから、私たちは一緒にいる時間が増えました。
再発してからは、いつも一緒でした。
いまから思えば、悔いが残りますが、その一緒の時間がずっと続くとなぜか思っていました。
現実をしっかりと見ることを、無意識に避けていたのでしょう。
その時間が長く続くはずがないことは、節子は知っていたかもしれません。
しかし、そんな会話は私が好まないことも節子は知っていました。
本を読んでいる私の横で、節子はもしかしたら、起きていたのかもしれません。
いまとなっては、もう確かめようもありません。
節子がいなくなってから、私たちの寝室はいつも扉が開け放たれています。
閉めたことはありません。
最初は、節子が戻ってくるかもしれないと思っていたからです。
遮光カーテンも少しだけ開けていますので、寝室はかなり明るいのです。
節子は少し明るい寝室が好きでした。
ところで、最近、私の見る夢が変わったような気がします。
おだやかな夢ばかりです。
節子が出てくるわけではありませんが、前にも書いたように、どこかに節子を感じさせる夢なのです。
節子が寝ている私を守ってくれているのかもしれません。
それに気づくように、時々、真夜中に私を目覚めさせるのかもしれません。
でも寝不足にさせてほしくはありません。
節子
今夜は起こさないでくれますか。
かなり寝不足がたまっていますので。
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