■節子への挽歌1878:年寄りの冷や水
節子
節子がいなくなってから、つながりができた人も少なくありませんが、その一人の神崎さんから電話がありました。
先日、相談があったことの結果報告です。
相談した以上、結果報告をしておかないと思って、と、まあ私には全く興味のない報告をしてくれました。
神崎さんはとても律儀なのです。
というのも、神崎さんは長年、任侠の世界にいた人なのです。
神崎さんとの出会いも、まんざら節子と無関係でもないのですが、まあそれはそれとして、節子がいなくなってから出会った人の一人です。
裏表がない直情径行の人であり、素直に付き合える人です。
神崎さんも、私には多分心を開いてくれています。
どこか、実に共通しているところがあるのです。
まあ一言で言えば、お互いに「バカ」なのかもしれません。
神崎さんは、自分の報告が終わった後、「いまは何をやってんや」と訊いてきました。
最近の私の状況の一部を少し話しました。
そしてちょっと疲れているんだと話したら、「年寄りの冷や水」になるぞと言われてしまいました。
その上、「いい歳をして娘たちに心配をかけるな」と諭されてしまいました。
神崎さんは、わが家にも2回ほど来ていて、娘たちのことも知っているのです。
「いい歳、いい歳とうるさいね」と言うと、わしくらいしか本音で佐藤さんに注意してくれる人はいないだろう、と言われてしまいました。
まあ、一応、神崎さんには、「そんなことはない。みんなから言われているよ」と答えたのですが、考えてみると、たしかに「いい歳をして」と、私をたしなめた人はいません。
むしろ「高齢なのにがんばっている」と言われて、ちょっといい気になってしまっているのかもしれません
そもそも自分でも「いい歳」などと思ってはいないのです。
実に困ったものです。
もし節子がいたら、最近の生き方は、「いい歳をして」となだめられかもしれません。
いろんなことに取り組みすぎですね。
それに最近はとんでもない重荷まで背負ってしまい、心やすまることもありません。
疲れやすくなっているのは、「いい歳」の自覚がなかったからかもしれません。
まあたまには神崎さんのアドバイスも聞かなければいけません。
そして、少し生活を見直そうかとも思います。
神崎さんは、毎日、お気に入りの喫茶店で珈琲とケーキを堪能しているのです。
それくらいの余裕を持たねばいけません。
また一度、神崎さんに珈琲をご馳走になりに行きましょう。
そして、「神崎さんもいい歳をしてまだそんなことやってるの」とバカにしてやらないといけません。
それにしても、まさか節子亡き後に、神崎さんのような人から注意されるとは思ってもいませんでした。
いやはや実に困ったものです。
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