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2012/11/21

■ソリューション型贈与とクリエーション型贈与

昨日、ソーシャルビジネス研究会を湯島で開きましたが、そこで話したことを少しだけ紹介させてもらいます。
テーマは「贈与」だったのですが、私は2つの贈与があると考えています。
ソリューション型贈与とクリエーション型贈与です。
ちなみに、このソーシャルビジネス研究会での私の大きなメッセージの一つは「ソリューション視点よりクリエーション視点を」です。

現在行われている多くの「贈与行為」は、体制維持のためのソリューション型贈与です。
そういっても伝わりにくいので少し説明します。
現在の工業型の資本主義の原理は大きな意味ではゼロサム的な競争です。
誰かが得をすれば誰かが損をすると言ってもいいでしょう。
大きな「ねずみ講」と言ってもいいかもしれません。

以前も書きましたが、「お金がお金を生み出す」というのは、原理的にありえませんから、誰かのお金を収奪しているに過ぎません。
工業活動によって価値が創出されていますが、これは自然を消費しているだけに過ぎません。
その結果、格差が高進します。
一方に過剰な財産を持った金銭的に豊かな人たちと私財を持てない金銭的にも貧困な人たちが発生します。
そこで2種類の贈与が発生します。
不足を解消するための贈与と過剰を放出するための贈与です。
たとえば、社会福祉施策や環境保護活動は前者の例であり、祭礼などの大盤振る舞いや有名なトポラッチは後者の例です。
企業のいわゆる「社会貢献活動」も後者と言っていいでしょう。
それらはいずれも社会体制を維持していくための問題発生を回避するための活動です。

不足の状況を克服するために、近代は「ソリューション」を理念においています。
しかし、ソリューションには2つのジレンマが内在しています。
まず、ひとつの問題を解決すれば、別の問題が発生するというジレンマです。
もうひとつは、解決すべき問題を自らが作り出していこうとするモチィベーションが生まれるというジレンマ(近代産業のジレンマ)です。
不足の時代から過剰の時代へと地平が開けてきたいま、大切なのは、ソリューションの先にあるクリエーションです。

そのクリエーションをベースにした仕組みが、経済にも求められているように思います。
そうした経済が模索されだしています。
ケアリングエコノミーや分かち合いの経済です。
あるいは「産業を基軸にした経済」ではなく「生活を基軸にした経済」です。
そうした視点に立って、贈与を考えると、クリエーション型贈与が構想されます。
価値を創造する贈与と言ってもいいですが、問題はそれが「どんな価値」を創りだすのか、です。
生み出す価値は「ささえあうつながり」「分かち合いの関係」など、新しい経済や社会の仕組みの核となるものだろうと思います。

ちなみに、これまでのソリューション型贈与は、人の関係を階層化しがちです。
そもそも「贈与」という言葉が、「贈って与える」という上下構造を内在させています。
私は贈与に変わるべき言葉として、日本語ではないのですが、「ケア」という言葉をいまは使っています。

生物としてはひ弱な人類が生き延びてきたのは、お互いに支えあってきたからだという考えが広がっています。
アリストテレスは「人間は共同体的動物である」と言っています。
共同体の基礎にあるのは、相互に贈与しあう分かち合いの原理です。
ケアの心、支えあい分かち合う志向(友愛)は、本来私たちには埋め込まれているように思います。
その原点に立って、経済や社会を改めて見直していくことが必要なのではないかと思います。
大きな枠組みとして取り組むには、あまりに大きすぎるテーマですが、まずは自分でできる身のまわりから始めることは、そう難しいことではありません。
そういう人が増えていけば、100年もすれば世界は変わるでしょう。

昨日、鳩山由紀夫さんが政治から引退するという報道がありました。
鳩山さんの「友愛政治」に大きく期待したのですが、それは時代からは一蹴されてしまいました。
友愛の理念を語ってきて、帰宅してのこのニュースにはやりきれなさを感じました。
友愛への思いを込めて、少し長々と書いてしまいました。

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