■各論の議論への違和感
会社時代、上司から指摘されたことがあります。
法学部出身の人は限られた条件を前提に結論を出しすぎると。
その人は経済学部出身でしたが、その指摘はいつも心に残っています。
それとはちょっと違うのですが、最近、気になる事があります。
各論としては正しいとしても、少し視野を広げて他の条件を加味すると途端におかしくなってしまう議論が多いことです。
先ほど、テレビで国会議員定数の話をしていました。
日本は国民から直接選ばれた国会議員が首相を選び国政を担うのだから、議員を減らしすぎるべきではないという主旨の発言をする議員がいました。
この発言は私もとても重要なポイントだと思っています。
しかし、その一方で、ではそうした多様な意見を持つ国会議員が選ばれたとして、彼らはその多様さを国会で発揮できるのか、です。
野田首相は党員である限り、党の決定に従ってもらわないといけないといい、選挙での公認の条件として、党の方針に違反しないという誓約書まで取ろうとしています。
それに署名できないとして、鳩山元首相は政界を引退しました。
「純化」といったナチスのような言葉さえ使われだしています。
そうした動きに、鹿野さんは独裁だと批判していますが、党員であれば党の決定に従うのは当然だと思う人は少なくないでしょう。
国民の多用な意見を代表させるために、議員の定数は多いほうがいい。
組織としての党の決定には党員は従うべきだ。
この2つは、それぞれとしては納得できる話ではあります。
しかし、それを合わせるとどうでしょうか。
そこからさまざまな問題が浮かび上がってきます。
大切な前提が抜けていることもわかります。
党議拘束が認められるとしたら、それは討議決定のために全党員が参加した十分な議論を踏まえて、党員たちがみんなで決定する必要があります。
いまの野田政権が、それをしているとは思えません。
蛇足的に言えば、選挙の時のマニフェストは立候補者全員の合意は不要です。
党が掲げたマニフェストに合意した人が、その党から立候補して議員になるからです。
しかし、鳩山民主党の元で当選したにもかかわらず、岡田さんや野田さんはその党議を無視しました。
私にはまったく信じ難いことです。信義のない人間に政治はしてほしくないです。
そのことをしっかりと言及しないマスコミにも愛想がつきますが。
こうしたおかしな各論的正論を、野田首相は演説で多用します。
そこだけ聞いていると納得してしまいがちです。
消費税増税も原発もTPPも、すべてそうした各論的議論ばかりが横行しています。
その繰り返しで、日本はいま壊れつつあるように思います。
対抗策はひとつです。
自らの生活の次元でしっかりと考えていくことです。
生活は各論では完結できません。
だから当然に全体的で時間軸も視野に入れた判断が要求されます。
男性と女性の違いは、生活から発想するか、各論的な個別課題から発想するかだと思います。
男性も生活をしっかりと踏まえなければいけません。
先週、お会いしたメーカーズシャツ鎌倉会長の貞末さんから、自分の着る服くらいは自分で買わないといけないといわれました。
まったくそう思います。
この週末にはシャツを買いに行こうと思っています。
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