■企業価値とはなんでしょうか
西武HDの再上場をめぐる同社と筆頭株主の投資ファンド、米サーベラスとの対立が泥沼化してきているようです。
今朝の朝日新聞によれば、サーベラスは「コーポレート・ガバナンスと内部統制を強化し、企業価値を向上させる」と説明しているそうです。
「企業価値」と言う言葉は、1980年代から90年代にかけて盛んに使われました。
しかし、その言葉には全く別の2つの意味が込められていました。
「キャッシュ・フローとしての企業価値」と「レゾン・デートルとしての企業価値」です。
平たく言えば、会社財産の売買価値と会社活動の社会的意義と言う違いです。
当時は、前者での企業価値が全盛でした。
私が、会社を辞める気になった理由の一つは、そういう風潮でした。
みんなお金に目がくらんでいたような気がします。
私自身も、多分にそうだったので、そこから逃げ出したかったわけです。
私は会社を辞めてから、いいかえれば1990年前後、企業関係者に講演する機会がある度に、そのことを強調しましたが、残念ながら焼け石に水でした。
私のホームページにも、そうした記事が残っているでしょうが、感心してくれる人はいましたが、誰もその方向での行動はしませんでした。
サーベラスが述べている「企業価値の向上策」を見れば、その意味する事が一目瞭然です。
儲からない事業はやめるということです。
つまり、経済学者や産業界で使われる「企業価値」とは、資本家にとっての儲けのことなのです。
そこには、生活者の視点での「社会価値」はありません。
昨今の企業の、それが実態かもしれません。
だから、企業は「社会貢献」とかCSRなどということに取り組んでいるわけです。
全くの本末転倒。
今の経済の本質が、こうした動きの中で、よく見えてきます。
原発やTPPの動きも、まさにこうした「価値」の視点から賛成論は組み立てられているように思います。
言葉にだまされないようにしないと、とんでもない結果を背負わされます。
| 固定リンク
「企業時評」カテゴリの記事
- ■がん民間療法体験26:天日塩の入った味噌(2023.10.16)
- ■『働きがいのある会社とは何か 「働きがい理論」の発見』をお勧めします(2022.11.18)
- ■20年ぶりにかっぱ寿司に行きました(2022.10.04)
- ■原発事故の損害賠償を受ける覚悟があるのでしょうか(2022.07.13)
- ■「新しい経済」に向けての2冊の本をお薦めします(2022.05.18)
コメント