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2013/03/16

■節子への挽歌2016:レネさんからの質問

「自殺者1万人を救う戦い」を制作したレネさんをNHKが取材していますが、レネさんからメールが来ました。
家庭での生活ぶりも取材したいと言ってきたそうです。
レネさんはちょっと戸惑っているようで、メールで私に質問してきました。

Do you think my wife would agree to filming in my house?

なんとも答えようがないのですが、それで思い出したことがあります。
25年前、私が会社を辞めた時ですが、友人のマスコミ関係者に、私が会社を辞めた後、どうなっていくかを追跡したら面白いのではないだろうかと話したのです。
当時はまだ今ほど、転職は多くありませんでしたし、私の場合は転職というよりも会社を辞めた後のことを何も決めていなかったので、面白いと思ったのです。
大企業の安定した生き方を止めてしまったら、どうなるか。
我ながら興味のあるテーマでした。
ところが、彼からのオファーは、家族を巻き込んでの追跡取材はどうかということでした。
彼の関心は、家族がどうなっていくかだったのです。

家族に相談したら、総反対でした。
会社を辞めることには異を唱えなかった節子も反対。
当時の節子にとっては、家庭の情景を外部に見せるなどということは、全くありえない話だったのです。
娘たちにいたっては、それ以上で、冗談はお父さんだけにしてよ、というわけです。
それで断らせてもらったのですが、友人からは腰がすわっていないと後々まで言われてしまいました。

あの時、もし、節子を説得して取材を受けていたらどうなっていたでしょうか。
間違いなく、家族の人生は変わっていたでしょう。
節子は病気になっていなかったかもしれません。
まあ、しかし、歴史に「もし」がないように、人生にも「もし」はないのです。

カメラこそ入っていませんが、この挽歌は私の人生を思い切り公開しています。
節子がいたら、こうはなっていなかったかもしれません。
娘からはなんでもかでも書くのは止めてよ、と言われています。
しかし、隠し立てするような人生を、私は送りたくはないのです。
でもまあ、あまり暴露すると節子もきっと怒るでしょう。
ほどほどにしないといけません。

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