■一票の格差訴訟の判決への反応
一票の格差訴訟の判決が次々と出ています。
すべてが「違憲」もしくは「違憲状態」で、選挙結果そのものに関しても2つの判決が無効としています。
この「選挙無効判決」に関する報道では、「画期的」とか「非現実的」とかいう形容詞をつけての報道が多いのが、私には驚きです。
そもそも「違憲な制度だがそれにしたがった結果は違憲ではない」などということを「現実的」だと受け止めてきたこれまでのマスコミがおかしいのです。
それを「非現実的」と考えないほど、マスコミ関係者の考え方はゆがんでいます。
選挙制度に限らず、たとえばイラク派兵などに関しても、違憲判決はこれまでも政治家や政府によって無視されてきています。
もちろん権力追従型の日本のマスコミはそれを黙認してきました。
選挙制度に関しても、政治家が何も動かなかったのは、マスコミの報道姿勢に一因があったように思います。
何が「画期的」で、何が「非現実的」なのか。
現実の世界に生きていない人たちの論理は、私には理解しがたい気がします。
そもそもこの訴訟の意味は何でしょうか。
選挙結果を否定するところにあるわけではないでしょう。
ましてや選挙のやり直しを目指すものでもない。
その意味は、日本の選挙制度はきちんとした民意を代表する制度になっていないということです。
今日の朝日新聞にそうしたことを訴える一面広告が出ていますが、ゼロ増5減とか国会議員数の削減とかといった、そんな話ではないのです。
しかしそうした視点から選挙制度をきちんと考えようという報道はあまりありません。
私自身は、いまの社会状況においては、政党政治はもう機能を終了したと思っていますので、いまさら中選挙区制度でもないでしょうし、比例代表制でもないように思いますが、国会議員が国民の代表として信頼されるためには、やはりしっかりとした制度の見直しが必要だと思います。
この「違憲判決」が、これからどう進んでいくのか。
私自身が、司法への信頼を取り戻す契機になるといいのですが。
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