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2013/03/19

■TPPを考える視座1:自由貿易をどう考えるか

TPP参加交渉が規定の路線となってきました。
過半数の国民が、それに賛成のようです。
もともと「TPP」とは何かがわかっていない状況での世論調査は意味がありませんが、そうした数字が発表されると、それは実際の動きに大きな影響を与えます。
世論調査ほど、危険なものはありません。

テレビでのTPP報道を見ていると、賛成したくなる人は多いでしょう。
確かに、経済や産業の視座から考えると、合理的かもしれません。
それにそもそも、「自由貿易」は「良いこと」だと思っている人には、最初から肯定的な心情が存在します。
「自由」というマジックワードに、私たちはいつもだまされるのです。

下の文章を読んで、どう思われるでしょうか。

一方には、経済成長を重視し、そのために市場経済の自由化を進めようとする、経済的に恵まれている人びとの政党がある。彼らは政府による介入を嫌がり、なるべく政府の役割を小さくしようとするでしょう。他方では、産業化が進み、企業活動が活発になる中で、一向に生活が楽にならず、貧困にあえぎ、労働問題や都市問題に苦しめられている人たちがいる。彼らの政党は政府による所得の再配分を求めます。この対立関係こそが政党政治の原型でした。
これは杉田敦さんの「政治的思考」(岩波新書)の一説です。
この短い文章の中に、たくさんの示唆が含まれています。

このブログでも何回も書いていますが、経済成長と生活の豊かさはまったく別のものです。
さらにいえば、「生活の豊かさ」は、その社会の中でどういう位置に置かれているかで、穂と様々です。
当然のことながら、ゼロサム社会にあっては、誰かの豊かさは誰かの貧しさによって成立します。
自由貿易とは、経済的な格差を平準化させるものではなく、むしろ構造的に格差を固定化させるものです。
これについては、すでに多くの分析調査があります。
にもかかわらず、多くの人は静態的な論理モデルの経済学に教えにより、自由貿易肯定論者なのです。
自由貿易が、どれほど南北の格差を拡大し、貧困を発生させたか。
自由貿易の「自由」は、力あるものの自由以外の意味はありません。
そのことを忘れてはいけません。

自由貿易を推進させるTPPは、私にはそれだけで十分反対なのです。

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