■自殺の問題は、特別の人の話ではありません
一昨日、公開フォーラム「自殺の問題にどう取り組むか」を開催しました。
3週間前に開催を決めての、急な呼びかけでしたが、最近話題になりつつある、記録映画「自殺者1万人を救う戦い」の上映も合わせて行ったこともあり、55人の人が集まってくれました。
映画を制作したレネ・ダイグナンさんも参加してくれましたし、東尋坊で長年、人命救助活動に取り組んでいる茂さんと川越さんも参加してくれました。
主催は私も事務局を引き受けている「自殺のない社会づくりネットワーク・ささえあい」だったのですが、むしろ今回はネットワークのメンバー以外に広く呼びかけを行いました。
しかし、やはり「自殺」という言葉にひっかかる人が多く、案内も読んでもらえなかったような気がします。
そこで直前に、映画を観に来ませんかという呼びかけに変えさせてもらいました。
ある人が、「自殺という重いテーマで躊躇していたが、思い切って参加することにしました」と申し込んできてくれました。
そのフォーラムの冒頭で、私は挨拶の中で、次のようなことを話させてもらいました。
日本では最近10年以上にわたって、ずっと年間3万人を超える人が自殺に追いやられています。昨年は3万人を下回ったといわれますが、いずれにしろ3万人前後の人が毎年自殺に追いやられている。しかもその後ろには、その数十倍、数百倍といわれる自殺未遂者や自殺を考えた人がいます。いまや日本は、「自殺」ということを内部に抱え込んだ社会になってしまっているといってもいい。あるいは、自殺の問題は今の社会のありようを象徴しているといってもいい。社会は、私たち一人ひとりの生き方でつくられている。だとしたら、その社会で生きている以上、自殺の問題は私たちの生き方と無縁であるはずはない。深くつながっているのです。
しかし、「自殺」という言葉の響きのせいか、多くの人は、自分とは別の世界のことだと思いたがっているように思います。こうして「自殺」をタイトルに入れた集まりを企画すると、いつもそのことを強く感じます。
しかし、自殺の問題は、決して特殊の人の、特別の話ではなく、社会そのものを象徴する問題です。私たちの隣にある問題です。
だから今回は幅広い人に呼びかけたのです。
自殺に特別に関心を持った人や、身近に自殺を体験しただけで、問題をいくら話し合っても、なかなか前に進まないような気がします。
そうした思いで4年間、ささやかな活動をしていますが、今回、少しですが、手応えを感じました。
このフォーラムを契機に、「自殺に追い込まれるような状況を生み出す社会をどうしたら変えていけるか」をテーマにした、さまざまな立場の人が参加するラウンドテーブル・フォーラムを開催できればと考えています。
テーマを設定して、参加者が丸く輪になって、意見をぶつけ合いながら、学びあい、それぞれの実践に取り組んでいくようなフォーラムです。
少人数でもいいので、じっくりと話し合う場を、誰かの呼びかけで、時々、開催できないか、そのために、そうしたことに関心を持った人たちで、その実行委員会を立ち上げられないか、と考えています。
一緒に取り組んでもいいという方がいたら、私(qzy00757@nifty.com)にご連絡ください。
ご一緒に取り組めれば、うれしいです。
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