■利子がマイナスになる利子率革命はどうでしょうか
日銀新総裁の黒田さんの発言は、経済界からは好感を持って受け容れられているようです。
私には、何やら時代錯誤のような気もしますし、生活者にはなにひとついいことはないように思いますが、多くの人は歓迎しているようです。
実に不思議な話です。
日本ではみんな資産家になり、貧しいのは私だけなのかもしれません。
ところで、アベノミクスをいとも簡単にばっさりと切り捨てている人がいます。
証券アナリスト出身のエコノミストの水野和夫さんです。
民主党政権時代には、内閣審議官もつとめた人です。
それもあってか、かなり辛らつで、たとえば、
「陳腐化しているとしか思えない「成長戦略」や規制緩和を未だに言い出す」
「(インフレ信仰に基づいて)今だってさかんにインフレ期待を唱えている」
とばっさりと切り捨てます。
水野さんは視野狭窄を特徴とする経済学者ではないようです。
社会学者の大澤真幸さんとの対談集の「資本主義という謎」(NHK出版新書)を読むと、それが良くわかります。
この本は気楽に読める新書本ですが、とても面白いです。
その本にも出てきますが、水野さんは「利子率革命」という視点から経済の大きな流れを読み解きます。
「利子率革命」とは長期にわたって超低金利が続くことで、そうなると既存の経済・社会システムはもはや維持できなくなるので、そうした時期を歴史学者は「利子率革命」と言うのだそうです。
いままさに、日本においても世界においても、そうした状況が起こっているわけです。
この話はとても示唆に富んでいるので、関心のある人はぜひ「資本主義という謎」をお読みになるといいと思いますが、私はさらにその先を考えてみたいと思います。
つまり、低金利ではなくマイナス金利の経済・社会システムです。
「資本主義という謎」という本の副題は、「成長なき時代をどう生きるか」ですが、もしかしたら、マイナス利子革命が新たなる成長社会を生み出すのではないかと思います。
マイナス利子の発想はすでにさまざまなところで具現化されていますが、お金がお金を生み出す社会は、やはりどこかおかしいと思えてなりません。
そういう状況の中では、生活はお金には勝てないでしょう。
お金がお金を生み出す経済の通貨とは一体何なのかも理解しないといけませんが、さらにパイを大きくしたらみんなの分け前は大きくなるなどと言う話にまだ騙されるようなことがあってはいけません。
アベノミクスで社会はさらに壊されていくような気がして不安です。
それにしても、日本人は変わってしまいました。
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