■自民党憲法改正草案による亡国への道:その9
主語の話をしたので、それにつなげて、もうひとつ、気になることを書きます。
憲法にはめずらしい主語がひとつ、自民党改正草案には登場しています。
「家族」です。
第24条 家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。2項には、なんと婚姻は夫婦相互の協力によって維持されなければならないともあります(これは現行憲法にもあります)。
家族は、互いに助け合わなければならない。
すらっと読めば、まあなんともないのですが、国家が主語になりだした憲法において、ここまで書かれると、いささか不安になります。
明治時代の「家制度」が復活するわけではないでしょうが、いやな感じがします。
憲法で、家族や婚姻にまで「義務」を指示されるのは、私には馴染めません。
「生‐政治」へと権力の支配様式が変化しているとはいえ、ここまであからさまに言われてしまっては、まさに「家畜」視されている気になります。
この発想は、皇室観にも、さらには地方自治観にも、さらには愛国主義観にも、つながっていくように思いますが、まあそこまでは勘ぐるのはいきすぎかもしれません。
しかし、こうしたちょっとしたところから、大きな権力犯罪は始まるのです。
たかが「家族」ではありません。
家族が「社会の基礎的な単位」であるとすれば、それをどう位置づけ、どう扱うかで、国家のあり方が決まってくるのです。
恐ろしさをぬぐえません。
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