■富士山が世界遺産になって、なぜうれしいのか
どうも私は性格が歪んでいるのかもしれません。
最近のテレビを書けると、富士山が世界遺産になって、みんな大喜びしています。
その気持ちが全く理解できないのです。
観光客が増えて喜ぶ人もいるでしょうが、迷惑する人も多いでしょう。
遺産になって保全活動が増えるかもしれませんが、破壊も加速されるかもしれません。
なによりも、世界遺産に認定される経過を見ていると、また巨額なお金が動いたのだろうと思います。
テレビ映像を見ていて、とても違和感があります。
そんなにしてまで富士山を金儲けの手段にしたいのかと、実に嫌な気持ちです。
オリンピックと同じで、こうした活動に税金が使われるのは不愉快です。
そんなお金があれば、福島の人たちに提供してほしいです。
富士山は大好きですが、とても汚されたような気がします。
古都鎌倉は、世界遺産になろうがなるまいが、私は好きです。
これは富士山に限りませんが、何でもかでもが経済につなげられるご時世には嫌気が差す一方です。
しかもそれを支えているのは、私たちです。
いま25年ほど前に出版された。藤永茂さんの「ロバート・オッペンハイマー」(朝日新書)を読んでいます。
オリバー・ストーンの「もうひとつのアメリカ史」のテレビドキュメントに思い出して、何冊かの本を読み出していますが、その1冊です。
その序文に、こんな文章が出てきます。
「私たちは、オッペンハイマーに、私たちが犯した、そして犯しつづけている犯罪をそっくり押しつけることで、アリバイを、無罪証明を手に入れようとするのである。オッペンハイマーは「原爆の父」と呼ばれる。これは女性物理学者リーゼ・マイトナーを「原爆の母」と呼ぶのと同じく愚にもつかぬ事だが、あえてこの比喩に乗りつづけるとしたら、オッペンハイマーは腕のたしかな産婆の役を果たした人物にすぎない。原爆を生んだ母体は私たちである。人間である」。みんなと共に、浮かれることだけはやめたいと思っています。
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コメント
佐藤様、いつも大変興味深く拝見させて頂いております。
オリンピックを始め、ありとあらゆる事の商業主義化・金儲け主義化には、私もうんざりしています。オリンピック招致に向けて各国によるIOCへの過剰な接待漬けとIOC内部の腐敗ぶりは、日々過酷なトレーニングをしているアスリート達への冒涜だとさえ感じます。
マンハッタン計画のリーダーだったオッペンハイマーは、戦後アメリカ政府の方針に反対したために、不遇の人生を余儀なくされましたね。
ところで今回、差し支えなければ、佐藤様の見解を伺いたい事が一つあります。
それは、日本では政権与党の対抗勢力となる野党が育たないという事についてです。
これは『長いものには巻かれろ』『右へならえ』的な、日本人の国民性ゆえでしょうか?
『強い野党』が居てこそ、政権与党による政治の暴走を防ぎ、国会に適度な緊張感と程よいバランスをもたらすと私は思っているのですが、残念ながら日本にはそういった土壌が根付かない様子なのです。
これは、かつて戦中国民が『鬼畜米英』『アメリカに擦り寄るのは非国民』『一億火の玉だ』と連呼しておきながら、敗戦の際にはダグラスマッカーサーを救世主であるかのように手のひら返しで歓迎し、戦中の考えを都合よく綺麗さっぱり忘れ去った事とも無関係ではないように思うのです。
野党、反対意見、少数派を許さない国民性が日本人にあるように私は感じます。
今の与党による、がむしゃらな原発推進・弱者切捨て・少数派否定の政策が強引に推し進められていく様は、非常に怖いものがあります。
投稿: 草庵 | 2013/06/25 20:03
草庵さん
ありがとうございます。
返事を書こうと思ったのですが、ちょっと目の調子が悪く、明日、返信を書かせてもらいます。
直るといいのですが。
投稿: 佐藤修 | 2013/06/25 21:17
草庵さん
7月25日のブログに、返事とはいえませんが、少し書かせてもらいました。
ありがとうございました。
投稿: 佐藤修 | 2013/06/26 18:17