■エジプトで何が起こっているのか
エジプト軍のクーデターに対する市民の抗議行動はますます拡大し、死者が増えています。
こんな文章を思い出しました。
R・J・ランメルの調査(1997)によれば国家は20世紀に1億3475万人の自国民を殺している。それは他国民を殺した6780万人を凌駕する数になる。万人のための万人による戦争状態を制圧し、平和に至らしめるために警察、制裁の権力や軍事力といった暴力を国民生活の安定のために正当に用いる国家を作るべきだとホッブスは述べた。このホッブスの国家観こそ近代国家を生み出す原動力となった。しかし実際には近代国家は万人による万人のための戦争状態こそおおよそ終結させ得たが、国家による暴力を防ぐことが出来ていない。(武田徹『私たちはこうして「原発大国」を選んだ』)エジプト軍は、「国家の中の国家」と言われるほどの存在ですが、軍隊出身でないムルシさんでは多分不都合があったのでしょう。
戦争がなくなれば、一番困るのは軍隊です。
世界の戦争を起こしているのは、現在では政府ではなく、アイゼンハワーが大統領を辞める時の演説で告発した通り、軍産複合体です。
もっと端的に言えば、産業界のリーダーたちと言ってもいいでしょう。
もちろん戦争に反対の経済人もいないわけではありませんが、そういう人は財界トップにはなってはいないでしょう。
経団連のトップたちの顔ぶれを見ればわかります。
エジプト軍は、経済活動も行っています。
まさに軍産複合体そのものなのです。
私たちは、マスコミの報道を信じがちですが、表層的な報道には慎重でありたいです。
最近、藤永茂さんの『「闇の奥」の奥』という本を読みました。
7年前に出版された本ですが、コンゴ自由国と植民地主義に関する本です。
ヒトラーによるユダヤ人虐殺よりもひどい虐殺の事実が忘れさられていることに我慢できず、藤永さんはこの本を書いたのでしょう。
最近読んだ本の中で、最も衝撃的な本でした。
そこに出てくる衝撃的な事実は、夢でうなされるほどです。
そうしたことを行っていたベルギー国王レオポルド2世は、当時、世界で最も高貴な君主とさえ言われていたのです。
エジプトで何が起こっているのか。
その真実が知りたいです。
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