■新しい働き方と新しい協同組合
17日に協同組合をテーマにしたサロンを開催しました。
前回は、農業協同組合の父ともいわれるライファイゼンからの流れを農林中央金庫の田中さんに話してもらい話し合ったのですが、参加者からぜひこうした話し合いの場を続けたいという声があり、第2回目を開催しました。
今回は、ワーカーズコープちばの菊地謙さんに、ロッチデール原則の流れから「協同労働の協同組合という働き方」というテーマで話題提供してもらいました。
今回は、以前、私も参加していた共済研究会のメンバーが数名参加してくれました。
その研究会の代表でもある青山学院大学教授の本間さんも参加してくれましたが、本間さんは現在の日本の協同組合に関して強い危機感をお持ちです。
昨年、韓国で協同組合基本法が成立しましたが、菊池さんはそのスタディツアーにも参加しています。
今回は韓国のそうした動きにも詳しい佐々木さん(今は帰国していますが)も参加してくれましたので、韓国の話題も少し出ました。
日本でも以前から「協同労働の協同組合」法制化の動きがあり、2000年には法制化市民会議も設立されました。
私もそれに参加させてもらいましたが、一時は大きく盛り上がりましたが、なかなか実現せずにいます。
私自身は、その後、法制化を目指すことが間違いではないかという思いが強まり、最近は全く興味を失ってしまいました。
今回、菊池さんは「協同労働の協同組合という働き方」ということで、たくさん刺激を与えてくれました。
菊池さんは、さまざまな実践にも関わっていますので、1日かけて、それぞれを議論してもいいような話題ばかりでしたが、サロンですので、深掘りできずに残念でした。
いつか1日かけてのラウンドテーブルセッションを開催したいと改めて思いました。
議論は多岐にわたったので報告しにくいですが、私は協同組合がいま大きなパラダイム転換の時期に来ていると思っています。
農協や生協などのこれまでの協同組合は企業経営をモデルにしすぎたように思いますが、それは時代の状況からみて、やむをえなかったと思います。
不足の時代の協同のあり方と言っても良いでしょう。
しかし、昨今の時代状況は「過剰の時代」です。
そこでの経済学がパラダイム転換を求められているように、新しい働き方が問われていると思います。
ワーカーズコープは、そのひとつに切り口です。
主体的に働くこと(つまり雇用関係をとらないこと)、働きを金銭で評価しないこと、生活と対比させるのではなく生活の重要な要素にすること(ワークライフバランスなどという発想を捨てること)などが、私が考える働き方です。
会社を辞めた後、雑誌に「脱構築する企業経営」という連載記事を書かせてもらいました。
毎回、考えながらの連載でしたが、1年後の結論は、協同組合こそがモデルではないかということでした。
その結論に失望したとみんなから言われましたが、今はますますその思いを強めています。
新しい働き方が新しい社会をつくっていくでしょう。
新しい社会が新しい働き方をつくるのではありません。
しかし、現状は、たとえば「ニューエコノミー」といわれる社会においては、開発的な創造的仕事と作業的な歯車労働(非正規労働で対応可能)とに分かれるように、働き方が強制されていきかねません。
そこでは「働くこと」の本質が損なわれています。
働く主体は、常に個人でなければいけません。
25年前に会社を辞めた時、そういう問題を考える必要を感じ、2つの組織の立ち上げに関わりましたが、いずれも私の思いとは全く別のものになってしまいました。
それぞれが軌道になった段階で組織を離れましたが、その後は、まずは私自身がそういう働き方とゆるやかなネットワークづくりをしようと生きてきました。
私の怠惰さもあって、私だけでとどまっていますが、せめてもう一度、そうしたことを考える場があるといいなと思いなおしつつあります。
そんな思いもあって、この集まりは継続することにしました。
メーリングリストも立ち上げる予定です。
一緒にやろうという方がいたら、ご連絡ください。
次回の集まりは9月9日の予定です。
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