■節子への挽歌2144:人生の一部
「北京のふたり」という映画があります。
リチャード・ギア主演のかなり前の映画ですが、最近、テレビで放映されていました。
番組表でしか見ていないので、記憶違いかもしれませんが、最後のシーンが印象的だったので覚えています。
ストーリーは、殺人容疑をかけられた無実のアメリカ人を中国の女性弁護士が救う話です。
最初、弁護士は被告の無実を信じていなかったのですが、いろいろとあって、被告も弁護士も、その生き方を変えていくのです。
結局は無実が証明されるのですが、その過程で2人は深く愛し合うようになります。
主人公は一緒にアメリカに行こうと女性弁護士を誘います。
弁護士は、まだ国のためにやるべきことがあると、その申し出を断るのですが、主人公は、何もなかったようにこれから生きていくのかと問います。
それに対して、彼女は、たしかこんなことを言うのです。
そうではない、私は変わった。
あなたと一緒に裁判に立ち向かうことで、私の生き方は変わった。
あなたが、私の人生を変えたのだ。
だから、これからはもう、あなたは私の人生の一部だ。
地球の裏側に、自分の家族がいることを忘れないでほしい。
かなり不正確かもしれません。
なにしろ映画を見たのは10年以上前ですので。
表現はかなり違うかもしれませんが、あなたは私の人生の一部になったというところは、たぶん間違いないはずです。
私は、節子と暮らしを共にすることで、間違いなく人生を大きく変えました。
それは誰と暮らしても一緒だろうと思いますが、私には大きな意味がある変わり方でした。
節子は、私を変えようとはしなかったからです。
不遜ながら、私は節子を変えようとしました。
結果はどうだったか。
私は変わり、節子は変わらなかった、ということです。
このことが、私にはとても大きな気づきをもたらしてくれました。
だから、節子が私の人生の一部になってしまったことは間違いなく実感できるのです。
先日、リビングで本を読んでいた時、節子が部屋に入ってくるような気がしました。
今も節子の気配を、いろんなところで感じます。
節子が此岸にいないことは、わかっています。
でも時々、そこに節子を感ずる。
節子が人生の一部になっているからでしょう。
北京の2人は、地球の裏表ですが、私たちは彼岸と此岸です。
どちらが遠いのか、それは考え方次第です。
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