■洗脳されることの恐ろしさ
みなさんは次の問いにどう答えるでしょうか。
「協同組合で働く人の給料と株式会社で働く人の給料とどちらが高いだろうか?」
昨夜、湯島でスペインのバスク地方の「モンドラゴン協同組合」をテーマにした集まりをもちました。
モンドラゴン協同組合は労働者協同組合ですが、労働者主権に基づいたビジネス・モデルに従って運営された仲間的な会社を約250社も展開しています。
社会的な支え合いとビジネス的な手法を両立させた、ソーシャルビジネスのモデルの一つではないかと私は思っていますが、最近はかなり変化もあるようです。
フェイスブックなどでは少し紹介しましたが、とても面白い議論が展開されました。
もっと多くの人たちに聞いてほしい話がたくさんありました。
そのなかで、昨年、モンドラゴンを視察してきた人から、最近はアメリカの大企業の経営トップをハンティングしているという話が紹介されました。
モンドラゴン系の企業は、アメリカの企業とは違い、経営者と従業員の報酬格差は3倍くらいで、多くても6倍だそうです。
そうするとアメリカからハンティングされた人の報酬は大幅に下がることになります。
参加者の中から、それでモンドラゴンに移る人がいるのだろうかと疑問が発せられました。
そして、表には出ていないだけで何か裏でメリットを得ているのではないかというのです。
参加者のみなさんもそれにうなずく始末です。
いやはや困ったものです。
さすがにムッとして、発言をしてしまいました。
どうしてそんなに疑うのか、みなさんはすでに金銭資本主義に洗脳されているのではないですか、と。
こうしたやりとりが1回ならずあり、私も1回ならず、みなさんにいやみを呈したことになります。
そしてみんなにも理解してもらえるように、話題提供者に質問しました。
「モンドラゴンでは協同組合で働く人の給料と株式会社で働く人の給料とどちらが高いんですか?」
もちろん前者です。そして話題提供者もそう答えてくれました。
おそらく多くの人たちは、無意識に協同組合で働く人の給料は株式会社で働く人の給料より低いと思っていたはずです。
それで念のために余計な発言を重ねました。
当然ですよね、だってモンドラゴン協同組合では働かずにピンはねする人たちはほとんどいませんからね、と。
うまく参加者に私のメッセージが伝わっていればいいのですが。
ともかく私たちは洗脳されて今や守銭奴に成り下がっているのです。
そして、雇用労働が良いのだと思いこまされているのです。
雇用を増やすという甘いささやきに、みんな騙されているわけです。
改めて洗脳されることの恐ろしさを実感しました。
モンドラゴンはそのうち立ち行かなくなるだろうという発言もありました。
しかしどう考えても、その前に立ち行かなくなるのは日本やアメリカの金融資本づけの株式会社でしょう。
ただし、洗脳された雇用労働者が、いまのままの「常識」を持ち続ければ、別ですが。
それに雇用される事の居心地の良さは、慣れてしまうともう捨てられなくなるほどの魅力もありますし。
失礼があったらお許しください。
はい。
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