■ヘレヘレじいさん
昨日の「祈り」の話のように、ハッとする話です。
今朝のテレビ「こころの時代」で、「幸せの形と向き合う」というのを再放送していました。
長年、ブータンの研究に取り組んでいる宗教人類学者で僧侶の本林靖久さんが、お話の中で、ブータンの民話「ヘレヘレじいさん」を紹介していました。
あるおじいさんが、畑を耕していて、大きなトルコ石を発見しました。
「これを売ればお金持ちだ」と思ったおじいさんは、大喜びで市場に向かいます。
ところが、その途中で次々と村人に出会い、そこで交換を重ねていきます。
まずトルコ石を馬と交換し、その馬を年老いた牛と、つづいて羊、鶏と交換してしまうのです。
次に出会ったのが、楽しそうな歌を歌っている村人です。
そして、その歌を教わったお礼に鶏を渡してしまいます。
しかもそれで終わりません。
おじいさんは、その歌を歌いながら楽しく帰路につくのですが、途中で転んでしまい、その歌を忘れてしまいます。
結局、村に戻ってきた時には何もなかった。
しかし、その後も、貧しくとも楽しく暮らしたというお話です。
みなさんもそうでしょうが、私はすぐに日本の「わらしべ長者」の話を思い出しました。
ところが、それとはまったく反対の話です。
今の私たちの価値観からすると、ヘレヘレじいさんは損をしたことになりますが、そうではないのです。
モノやお金ではなく、他者を喜ばすことこそが喜びであり、人と人とのつながりの中で生きていくことが何よりも幸せであるということを教えてくれているのです。
ヘレヘレじいさんは、豊かで幸せな人生というものを知っていたのです。
昨日のフォワードカフェで、最初にそれぞれが自己紹介しました。
そこでコミーという会社の社長の小宮山さんが、私との出会いの話をしてくれました。
ビジネス関係の集まりで、私が講演をしたのだそうです。
みんな「オレのものを増やそう」と騒いでいるのに、佐藤さんは「みんなのものだ」という話をしたというのです。
どうも私は場違いの話をしてしまったようです。
しかし、そのおかげで小宮山さんと出会えたのです。
小宮山さんの話を聞きながら、最近の私はやはりちょっと私欲が出てきているのではないかと反省しました。
ヘレヘレじいさんのように、豊かな人生を過ごすことを忘れてきているのではないか。
2日間にわたり、自らの生き方を問い質す話を耳にしたことに感謝したいと思います。
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