■「福祉」という言葉のイメージ
先週、箸ピーサロンで、六甲アイランド高校で教科「福祉」の先生である吉田高子さんが話題提供してくださいました。
それに関しては、私のホームページなどでも少しだけ紹介していますが、そこで話題になったことの一つを、書いておきたいと思います。
現在、高校で、「福祉」という教科があることをご存知の方はどのくらいいるでしょうか。
私は今年のはじめに、吉田さんからお話を聞くまで、知りませんでした。
おそらく多くの人は知らないでしょう。
1999年に、文部科学省は、「福祉」という教科を新設しました。
その目的は3つありました。
「国民的教養としての福祉教育」「進路選択の一つとしての福祉教育」「福祉人材の養成としての福祉教育」です。
おそらく、後者の2つが真の狙いだったと思われます。
ところが、六甲アイランド高校では、最初の目的に正面から取り組んでいるのです。
同校の目指す福祉教育は、「すべての科目に底通する理念としての、「自由」「平等」「参加」「和平」を基本に置いて、生徒たちが、「普通に暮らすしあわせ」とは何かを探求し、その実現を志向すること、さらに、すべての人の「人間としてのしあわせ」の実現を目指すことなのだそうです。
吉田さんは「福祉」を広義に捉え、「幸せづくり」と考えています。
サロンでは、こうしたことと「福祉」という言葉が多くの人にはつながらなかったようです。
つまり、「福祉」という言葉がイメージするのは、介護であり、子育てであり、障害者支援でありということなのです。
同時に、吉田さんたちが目指すことの大切さには、みんなとても共感しました。
そして、吉田さんたちのような「福祉」の学習が、多くの学校に広がってほしいというのが大方のご意見だったように思います。
それがなぜ広がらないのか。
その理由の一つは、「福祉」という言葉がよくないのではないかということになりました。
何か「適切な言葉」はないでしょうか。
吉田さんたちの教科を選んだ生徒たちは、卒業後もとても豊かな生き方をしているようです。
もちろん「経済的な」という意味ではありません。
そして、卒業後も、なにかあれば、学校に立ち寄ってくれているようです。
教育とは何か、学校とは何か、を考えさせられるとても大きな問題提起があったような気がします。
吉田さんたちの活動をもっと多くの人たちに知ってもらいたいと思います。
だれか力を貸してくれませんか。
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