« ■すべてが経済成長支援を向いている | トップページ | ■節子への挽歌2261:毒素 »

2013/11/09

■節子への挽歌2260:歩くことの治癒力

節子
鈴木さんが「ロング・マルシュ 長く歩く」という本を教えてくれました。
フランス人の元ジャーナリストが、サンチャゴ巡礼で生きる意欲を取り戻し、そのあとに挑んだシルクロード徒歩旅行の記録です。
ある雑誌に載っていた、著者の短い文章も送ってきてくれました。

10年前の妻の死で開いた傷が、ふさがらないままだった。仕事に打ち込むことでしのいでいたが、いま、その仕事までが私を見捨てようとしていた(退職が近づいていたという意味)。
そして、彼はサンチャゴ巡礼路を歩くことにしました。
そこで歩くことの治癒力を発見。
歩き続けねばならないと決心。

機械文明のため、われわれは歩く人類というものを忘れてしまった。
歩いて辿る小道は生命の道だ。

この本を紹介してくれた鈴木さんもサンチャゴ巡礼路を歩いていますが、また行きたくなっているようです。
四国のお遍路さんも計画しているようです。

節子がいたら、私たちも四国に行っていたでしょう。
節子の姉夫婦は何回も歩いています。
そろそろ私たちも行こうかと話をしはじめた時に、節子のがんが発見されました。
サンチャゴ巡礼も、節子は少し関心を持っていました。
サンチャゴ巡礼の映画づくりの取り組んでいた黛まどかさんを囲むサロンを湯島で開き、節子も参加し、黛さんの本も読んでいました。
しかし、結局、節子も私も、巡礼路を歩くことはありませんでした。

しかし、考えようなのですが、私はいま、節子と2人で巡礼路を歩いているような気もします。
この挽歌は、私にとっての「巡礼の記録」なのかもしれません。
そう考えると、もう6年以上、歩いていることになります。
苦難も多ければ、お接待も多く、疲れたり癒されたりしています。

人生は旅そのものだ、などと月並みなことは言いたくありませんが、旅だと思えば、いろいろと納得できることが多いです。
しかし、本当の旅は、彼岸への旅かもしれません。
此岸はすべて巡礼路かもしれません。
そう思わないと、最近は身が持ちません。
お天道様は、時に苦難を与えてくれます。

|

« ■すべてが経済成長支援を向いている | トップページ | ■節子への挽歌2261:毒素 »

妻への挽歌12」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ■節子への挽歌2260:歩くことの治癒力:

« ■すべてが経済成長支援を向いている | トップページ | ■節子への挽歌2261:毒素 »