■常識を問い直す 番外編2:放射線汚染の除染実験の報告その1
以前ここでもご案内していましたが、我孫子のクリーンセンターで、道路側溝汚泥の放射線除染実験を開催しました。
市役所からも4人の方が参加してくれたほか、私の声掛けに応じて、5人の方が参加してくれました。
それぞれに社会発信力のあるみなさんです。
3500ベクレルほどの放射線量をもつ汚泥が実験材料です。
実験と言っても、極めて簡単なもので、実験者の田中さん(神戸から来てくれました)にいわせれば、中学校の理科実験のレベルで、すべてを田中さんがやってくれました。
除染実験というので、かなりの大掛かりのことを予想していた方もいましたが、あまりに簡単なので気が抜けたかもしれません。
実験はこういう方法です。
まず汚染土壌をビーカーに入れ、そこに田中さんが以前開発した土壌改良材「パワーパーク」液を加え、それを100℃近くのお湯の中で2時間、暖めます。
それだけの話なのです。
すべてをみなさんの前で行い、2時間後に試料の土壌からどれだけの放射線量が低下したかを測定します。
みんなの目の前で、温めながら、田中さんの説明と質疑応答でした。
参加者は、たぶん拍子抜けしただろうと思います。
実は私も拍子抜けてしまいました。
しかし、物事はシンプルであるほど、真実が見えてくるものです。
田中さんは、自分で確かめたことだけをベースに説明しますが、それがなぜそうなったのかは一切説明しません。
別に隠しているわけではなく、わからないからです。
そこが、私のほれ込んだところです。
わかったような気になることほど、物事を見えなくしてしまうことはありません。
田中さんは、「知識」的な理屈には呪縛されないのです。
知識は実際にやってみてしか納得しないのです。
しかし、その底にある信念は明確です。
元素は変化するという信念です。
水素から生まれたセシウムならば水素に還ってもおかしくないという極めて単純な信念です。
仮に戻らないとしても、最初から戻らないと決め付ける必要もない。
机上の余計な知識が、私たちを呪縛していると考えているのです。
そうした田中さんの発想と参加者の発想は極めて対比的です。
田中さんが体験的に発見した、「パワーパーク」液が汚染土壌からセシウムを溶融させるということを前提に、ではどうしたらその発見を活かせるかという発想をする人はほとんどいません。
まずはきちんとした「効果データ」がないとみんな動かないという意見もありましたが、科学が測定する事ができる範囲などたかが知れています。
目の前で効果があると確認できれば、それを信ずれば良いだけの話ですが、誰か権威のお墨付きがなければ認めないというのは、現場で活動していない人の言い訳でしかありません。
それにしても、みんなどうして、そういう、だれかがつくった「エビデンス」に依存するようになってしまったのでしょうか。
自分の心身で生きてほしいものです。
また水に溶かしても、その後、その水をどうするのかという質問が必ず出ますが、それはまた別の問題として考えればいいわけですが、そういう発想もまた多くの人はしません。
まずは拒否する、そして受け容れない理由を探す、という姿勢がこれほどまでに強くなってしまった社会には未来はないでしょう。
一挙に除染問題が解決するはずもなく、まずは素朴な発見を活かせば良いのです。
これはすべてのことに言えることです。
ともかくみんなと田中さんとのやりとりから、私はたくさんのことを気づかせてもらいました。
終わった後、松戸から参加してくれた石井さんが、田中さんとの参加者のやりとりが面白かったといってくれました。
石井さんは田中さんの活動を応援できないかと、考えてくれたようです。
そうでなければいけません。
石井さんは、楽しんだようですが、私は田中さんの世界と参加者の世界をどうつなげるかで、疲れきってしまいました。
さて実験結果はどうだったか。
それは午後に書き込みます。
あまりに天気が良いので、ちょっと畑仕事に行ってきますので、それから戻ってからになりますが。
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