■常識を問い直す 番外編:公的年金基金も運用の対象
テレビニュースを見て、驚いたので、番外編を書きます。
お金は運用して利益をあげるもの、と言うのは、昨今の「常識」なのでしょうか。
お金がお金を増やしていく仕組みが、社会を壊している一因ではないかと考えている私としては、その常識はだれかがみんなを洗脳してつくりあげたものではないかと思っています。
「運用」が「無駄にしない」というような意味であれば、問題ありませんが、最近の状況で「運用」といえば、「より高い利回りを目指す」という意味でしょう。
リターンの大きさは、言うまでもなくリスクの大きさに比例します。
自分のお金であれば、リスクをとってもいいでしょう。
しかし、他者のお金となれば、話は違うはずです。
公的年金の改革を議論している政府の有識者会議の最終報告書が発表されました。
なんと、公的年金に対し運用対象を広げることが提案されているそうです。
これには唖然としました。
つい最近も、ハイリターンを追い求めて、大きな損失を出した年金基金が話題になっていましたから、当然、反対方向の提案をイメージしていたからです。
気になって調べたら、委員には金融関係者が多いことが分かりました。
ここでも「お金儲け」が出発点になっているのでしょうか。
おぞましい時代です。
支え合うためのお金が、誰かが儲けるためのお金に転用されるわけです。
お金は高利回りで運用しなければいけない、とか、お金は利子を生むものだ、などという「常識」はそろそろ捨てたほうがいいように思います。
お金にも「減価」という概念を与えたゲゼル経済学というのもあります。
人をつなぎ、生活を支援する地域通貨のほとんども、減価の発想を取り入れています。
少なくとも、公的年金基金をリスクにさらすなど、狂気の沙汰としか言いようがありません。
有識者とは、一体何なのでしょうか。
有識者は「見識のある人」と言う「常識」も捨てましょう。
常識を捨てると、ほんとうにいろんなことが見えてくるものです。
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