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2013/12/06

■流行語大賞に思うこと2:「今でしょ」

今回は「今でしょ」です。
この言葉を聞いた時には、私自身は思考停止のメッセージと感じました。

アウシュビッツを経験した精神心理学者のフランクルの著書「それでも人生にイエスと言う」には、次のような文章があります。

人生が一回きりでひとりひとりの人間が唯一であること、しかもあるものにとつて唯一であること、つまり他者にとって、共同体にとって唯一であることを一つの公式にまとめてみましょう。それは、人間の「おそろしくもすばらしい」責任、人生の「重大さ」に私たちの注意を促すような公式です。
そうすると、タルムードの創始者のひとりであるヒレルがおよそ2000年前にモットーにした言葉を引き合いに出すことができると思います。その格言というのはこうです。
「もし私がそれをしなければ、だれがするだろうか。
 しかし、もし私が自分のためにだけそれをするなら、私は何であろうか。
 そして、もし私がいましなければ、いつするのだろうか。」
「いましなければ」というところに、その時々の状況が一度きりだということが合意されているとフランクルは書いています。
流行語としての「今でしょ」は、決断を促すスタイルをとっています。
難しく考えずに、ともかくやってみたらとそそのかしているわけです。
つまり、思考停止、即ち決断放棄を促しているメッセージです。
情報過多の中で、自分では何も決められなくなってきている現代人の生き方に対して、考えて迷うのではなく、言う通りに行動を起こせといっているのです。
その言葉の先にあるのは、消費の誘導、あるいは権威や権力、大勢への盲従でしかありません。
さらにいえば、「オレオレ詐欺」を仕掛けてくる人たちとも、どこか似ているような気がします。

大切なことは、「今しなければいけないことは何なのか」ということです。
そして、それはするとしたら、「今」しかない。
だから、まさに、「今までしょ」なのです。
大切なのは、「思考」と「選択」を前提にした「行動」なのです。
いささか理屈っぽいのですが、「今でしょ」は思考剥奪のおまじないに聞こえて仕方がありません。

何をするべきかが考えられ、決断できたら、それこそ「今でしょ」というメッセージは生きてきます。
それに対して、思考しない人々にとっての「今でしょ」ブームは恐ろしい気がします。

今日、特定秘密法案が強行採決されるようです。
政府はまさに「今でしょ」とばかり強行採決行為を繰り返しています。
そこに、「今でしょ」のメッセージが含意するものが見えてくるような気がします。
「今でしょ」を流行語にする愚かさを危惧します。

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