■節子への挽歌2302:食卓のガラスがなくなりました
節子
またひとつ、節子の思いのこもったものがわが家から消えました。
食卓のガラスです。
ひびが入ってしまったので、廃棄することにしました。
わが家の食卓は円形テーブルです。
食卓を円形にするかどうかは、家族でだいぶもめたのですが、節子の強い要望で、円形のテーブルになりました。
さらに節子の要望で、テーブルに合わせてガラスを上に置くことにしました。
これはわざわざガラス屋さんに頼んで加工してもらったものです。
節子には、思いのこだわりの深いものでした。
そのガラスが、今年の初めにひびが入ってしまったのです。
しばらくはガムテープで補修して使用していましたが、ひびがどんどん広がってしまったので、廃棄することにしました。
ところが、ごみに出すために、それを小さく割ろうとしたのですが、強化ガラスなので、金槌で叩いてもなかなか割れないのです。
そんな丈夫なガラスなのに、なぜひびが入ったのでしょうか。
ガラスをはずしたら、まっさらな食卓の木面が出てきました。
傷が全くありません。
娘のユカは、ガラスを置くことに強く反対していましたが、それは生活の記憶が刻まれないからと言う理由でした。
たしかに、その通りです。
あまりに無傷なので、ここで節子と一緒に食事をしてきた痕跡が見当たりません。
いささかさびしい気はします。
形あるものは、傷がつき壊れていきます。
それを止めようと思うのは、やはりやめたほうがいい。
改めて、そう思いました。
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