■2段目のない三段論法
細川さん出馬の可能性が出てきたため、都知事選が混戦になりそうです。
流れを変えるのが、小泉さんだというのが気になりますが、脱原発がまた論点として復活することは私には歓迎できます。
しかし、原発が争点になることには、反論も多いでしょう。
細川さんの脱原発論を、甘利経済再生相は「殿、ご乱心」と批判したそうです。
そしてこういっているそうです。
エネルギー政策は国策として、国民利益を考えながら取り組んでいかないといけない。甘利さんの言っていることは間違いではないでしょう。
安定的で安全で低廉のエネルギーを供給することを確保していくことが政治の責務だ。
しかし、甘利さんのこの2つの視点は、原発再稼動にも脱原発にもつながります。
甘利さんの場合は、だから脱原発などというのは「ご乱心」なのですが、たぶん、小泉さんや細川さんは、だから脱原発なのです。
三段論法の、一番大切な2段目が抜けているわけです。
そのせいで、多くの人は騙されてしまうわけです。
TPPも秘密保護法も、沖縄の辺野古米軍基地新設の話もそうです。
小泉さんも細川さんも首相時代は原発推進派でした。
それが今になって脱原発というのはおかしいという人もいます。
メーリングリストでも、この種の議論が少なくありません。
しかし、つい最近までほとんどの人は原発に疑問をいだいていませんでした。
状況の変化の中で、主張を変えることまで否定するべきではないように思います。
そんなことをいったら、大江健三郎さんだって、以前は原発賛美者でした。
都知事が誰になったとしても、ともかく原発再稼動と原発輸出の意味を改めてしっかりと考える契機になれば、都知事選は大きな意味を持つでしょう。
オリンピックの顔を決める選挙などという人がいましたが、少なくとも、そうはならないようなので、ホッとしています。
マスコミも、改めてきちんと原発の安全性やコストについてきちんと報道してほしいです。
靖国参拝や辺野古米軍基地新設の問題も、どうしてもっときちんと報道してくれないのでしょうか。
そんな難しい話ではないと思うのですが。
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