■「基地か経済か」は争点か
都知事選に先立って、沖縄の名護市の市長選が明日、投票です。
ここでも基本的な問題が争点になるはずですが、それが巧みに変形されています。
朝日新聞の今朝の記事を一部、引用します。
本土復帰から42年。米軍基地は沖縄に註中したままだ。政府は「基地か経済か」と選択を迫り、市民の対立を深めているように見える。2020年にまた東京五輪がある。日の丸への思いは、あの当時と違うかもしれないが、もう一度、聖火リレーを迎えたい。だから地域がひとつに-。その思いを市長選に託す。ちなみに、1964年の東京五輪の聖火リレーは米軍統治下の沖縄から出発したのだそうです。
その時に、沖縄では「日の丸」がデビューしたのかもしれません。
それはともかく、ここでもオリンピックの影が出てきます。
オリンピックとは何なのかを考える材料が、ここにもあります。
名護市の住民たちが、選挙のたびに分断されてきたことは繰り返し報道されています。
要するに、名護市の住民たちの生活は米軍基地の存在で壊されたのではなく、それにまつわる金銭のばらまきによって、壊されたのです。
それが今回また、あからさまに可視化されました。
新聞によれば、「自民党の石破幹事長は1月16日、名護市長選の基地推進派候補者の応援で街頭演説に立った際、新たに500億円の「名護振興基金」を作ることを明らかにした」といいます。
これは選挙違反ではないのかと私には思えますが、こんな形で、私も負担している税金が使われることに大きな違和感があります。
名護振興基金に反対しているのではなく、その発表のタイミングに違和感があるのです。
前の記事で、「私たちの税金を使って、市民を愚弄する醜いことが自民党によって行なわれています」というのはこのことです。
金銭で賛同を得ていく方法は、原発とまったく同じです。
そこにこそ、本当の争点はあるのです。
名護市市長選挙の争点は「基地か経済か」なのでしょうか。
問題の立て方が間違っているように思います。
米軍基地に依存するかどうかは、まさに地域社会の根底を決める大問題です。
基地を前提にした経済もあれば、脱基地を前提にした経済もある。
まさに「原発問題」と同じ構造がここでも見られます。
問題は、経済との対置ではなく、社会のあり方、経済のあり方、人々の生き方なのです。
「基地か経済か」「脱原発か経済か」という問題の立て方に惑わされてはいけません。
問題の根底にある意図への想像力が求められているのです。
どう問題を立てるかで、実は答えは見えてくるものです。
これに関しては、これまでも何回か書いてきましたが。
明日、名護市の市民はどう判断するかどうか。
原発問題と同じく、その結果は、私たちの社会の方向を大きく決めていくことになるでしょう。
山本太郎さんががんばっていますが、何もしていない自分を恥じながら、彼に拍手を送りたいと思います。
結果はどうであれ、名護市の住民たちには感謝しなければいけないと思っています。
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