■「うまくいかない人生」
3年前に湯島を訪ねてきてくれた若い女性の方からメールが届きました。
ご本人の許可を得ていないのですが、一部引用させてもらいます。
東京を離れ、3年が経とうとしています。以前、「さみしい社会」を最初にして、中年の女性の方の不安についての話を何回か書いたことがありますが、若い世代にもそういう不安感が広がっているようです。
相変わらず、うまくいかない人生を迷走中です。
佐藤様が時評で書かれている世の中の不条理を、残念ながら体現しております。
(中略)
一度レールを外れると、もう終わるんだなと、つくづく疲れ果てています。
(中略)
今は積極的に死へ向かおうとは思いませんが、結局ご縁もなく、雇用も不安定な自分の選択の稚拙さに、未来など全く考えられない自分がいます。
こういう不安の渦中にあると、原発問題などの問題にまで視野がいかないかもしれません。
不安を広げ深めれば、人は簡単に管理できるのかもしれません。
いまの都民は、みんな不安を背負っているのかもしれません。
脱原発がすべての基本だなどと考えている私のメッセージなどは、能天気な発言に聞こえるのかもしれません。
この2週間、「支え合いの仕組み」を自分たちでつくるしかないという思いを持った比較的若い人たちが、湯島に来ました。
おひとりは、まだ構想段階ですが、2人は既に動いている方たちでした。
活動の内容は、それぞれ違うのですが、お話を聞くかぎり、根底にある思いは通じているように思いました。
みんなをお引き合わせしたいと思っています。
しかし、なぜみんな私のところに来てくれるのかわかりませんが、そういう話をできる場が少ないのかもしれません。
いうまでもありませんが、私もまた「人生はうまくいかない」と思うことが多いです。
しかし、人生はもともと「うまくいかない」ものです。
だからおもしろい、そして、だからこそ、その人だけの人生なのだろうと思っています。
人生のレールはいろいろとあるのです。
社会のレールに乗って、充実して働いてきた人たちが、ある時に、レールの先を見て、「さみしい社会」の現実に気づくこともあることを知ってほしいと思います。
私も25年前にレールから降りた一人ですが、大切なのは、そもそもレールなどないのが人生だと気づくことかもしれません。
それに気づけば、生きやすくなるかもしれません。
そして、人はそもそも一人ではさみしいものだと考えれば、さみしい社会での生き方が見えてくるかもしれません。
こういう思いをぶつけ合って、自分たちの生き方を見直すサロンを開きたいと思っているのですが、なかなか実現できません。
やはりみんな、「うまくいく人生」の呪縛から抜けられないからかもしれません。
うまくいっていようがいまいが、自分の人生は、他の人の人生とは違う、それこそたった一つのものです。
そこにこそ、私は価値をおきたいと思っています。
さみしいのは社会ではなく、自分の生き方かもしれません。
我孫子では、雪は吹雪に変わっています。
吹雪も人生には必要だと言われているような気がします。
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