■節子への挽歌2407:「あなたの温かみがなくなって世界が冷たくなった」
節子
タイトルの「あなたの温かみがなくなって世界が冷たくなった」は、ハンナ・アーレントの葬儀で、友人のハンス・ヨナスが語った言葉です。
この言葉に出会った時、なんだか私自身の気持ちのように感じました。
「あなたの温かみがなくなって世界が冷たくなった」。
文脈も、意味も、まったく違いますが、私の思いを表現する言葉です。
しかし、なんと感動的な言葉でしょうか。
節子の告別式では、私にはこういう言葉は出てきませんでした。
また6年以上にわたって、挽歌を書いていますが、そこでもこういう言葉は出てきません。
それどころか、この挽歌は、なかなか目指している挽歌にはなりません。
あまりに、節子との距離感が近すぎるでしょうか。
気のきいた言葉が、いつになっても出てこないのです。
節子と付き合い始めた頃、毎日、節子に詩を書いて送っていましたが、あの頃のほうが、企業の聞いた言葉が出てきていたように思います。
感性がまだ瑞々しかった若さのおかげかもしれません。
今では、心に響く言葉がなかなか出てきません。
そのため、誰かの言葉を借りて、この挽歌を書くことも少なくありません。
まあ、それも一つの節子への挽歌と考えてもいいでしょう。
そんなわけで、今日はヨナスの言葉を節子に贈ります。
「あなたの温かみがなくなって世界が冷たくなった」
夜になると、冷たさがこたえます。
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