■じわじわと値上げが起こっている気がします
消費税増税を契機に、価格の見直しが広がっています。
消費税増税は、私たち国民が決めたことですから、受け入れることにはなんの抵抗もないのですが、それに伴う価格の見直しの動きには、大きな違和感があります。
しかも、インフレターゲットという大義のなかで、値上げへの抵抗がなくなってきています。
それにも危惧を感じます。
驚いたのは、近くのお店に映像記録用のブルレイのディスクを買いに行ったのですが、3月30日に行った時には1980円だったのが、翌週に行ったら、なんと2800円近くに変わっていました。
3月30日に行った時に買えばよかったのですが、その時には寄り道する予定だったので次にまわしてしまったのです。
急に高くなったので、買う気をなくしてしまいました。
似たようなものは、他にもあります。
私は、時々、娘の買い物に同行します。
これは会社時代、エコノミスト的な仕事をしていた時の習慣です。
統計では見えてこない実態の動きを、定点観測していたのですが、その習慣がいまも続いています。
特に、スーパーでの食材の価格の動きは、さまざまな気づきを与えてくれます。
昨年前半までは、たしかにデフレ基調で、これって安くなりすぎではないかなどと思うことが多かったのですが、昨年秋くらいからは、統計的な数字とは別にじわじわと実勢価格の上昇を実感しています。
もちろん価格が上がることは、決して悪いことではありません。
働くことの価値や素材の価値が高まることですから。
しかし、円安で高くなるというのは、私にはうれしいことではありません。
円安とは、私たちの活動の価値が下がるということだと思うからです。
もっとも、円高のおかげで、海外の商品を安く買い込んでしまうということには反対です。
相手先の国の人たちの働く価値や素材を低く評価してしまうからです。
つまり、私は人為的な為替制度を背景にした自由貿易には違和感があるというわけです。
いやそもそも行き過ぎた自由貿易に違和感があるのですが。
ですからTPPには心底反対です。
それはそれとして、消費税増税を契機にした価格見直しの風潮に違和感があります。
5%の消費税が8%になっただけではなく、増税分を自己負担しなければならない零細企業や個人商店がある一方で、どさくさにまぎれて安直に価格が見直されてしまうのは、どうも納得できません。
それ以上に納得できないのは、増税前に購入にあおるような風潮でした。
8%から10%に上がる時にまた、そうしたことが起こるのでしょうか。
エコライフなどという名目で、商品を買え換えさせることにも違和感(エコと反対だろうと思うわけです)がありますが、消費をあおる風潮に抗うことは結構難しく、わが家でも冷蔵庫を買い換えてしまいました。
困ったものです。
しかし、スーパーに定期的に通っていると、どうしても安いものにひかれる傾向が生まれます。
金銭的にはかなり貧しいわが家では、賞味期限が近づいて割引された黄色いラベルがついた商品が冷蔵庫によく入っていますが、私もついついそれでいいかと思って、娘と一緒に行った時に、娘の買い物籠に入れてしまうことがあります。
安く買うのは作り手に失礼ではないかと思うのですが、なかなか言行一致にはなりません。
デフレがいいのかインフレがいいのかも、なかなか判断ができません。
困ったものです。
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