■責任のない者の責任
昨日、福井でNPO法人心に響く文集・編集局(東尋坊で自殺防止の見回り活動に取り組んでいます)の10周年記念シンポジウムがありました。
朝の10時半から午後5時過ぎまでという長時間で、しかも講演あり演劇あり、映画あり、法話あり、話し合いあり、表彰式あり、といった、盛り沢山のプログラムでした。
東尋坊の現場で見回り活動をしている5人の方のパネルディスカッションもありました。
5人からは、それぞれ実に生々しい話が出されました。
せっかく東尋坊で投身を思いとどまらせた母子の話は、とても悲しい話でした。
母親の異常さを感じた小さな姉妹が、母親に早くお家に帰ろうと泣きすがっていたのに気づいた事務局長の川越さんが声をかけ、なんとか現場から引き戻し、NPOが開いているおろし餅やに連れて来て、話を聞き出したそうです。
迎えに来た家族と一緒に戻ったのですが、悲しいことにハッピーエンドにはならなかったのです。
東尋坊で頑張っても、限界があるのです。
そうしたなかで、毎日、見回り活動をしているモティベーションは何なのか。
古屋さんは、自分の世界が広くなったと言います。
川越さんは、悲しいこともあるが、自分が元気づけられることが多いとも言います。
人助けは、実は自分助けなのだと、実践者のみなさんは言うのです。
話し合いでは、警察や行政の人たちの活動と市民の活動との違いも話題になり、
警察や行政の動きが遅いというような話が出ました。
元警察官の茂さん(心に響く文集・編集局理事長)が、それに関して、とてもわかりやすく話をしてくれました。
茂さんは行政の世界もNPOの世界もよく知っています。
警察や行政は、責任があるために、逆にいろんな制約があり、自由に動けない面があるというのです。
それを聞いて、私は「責任のない者の責任」に気づきました。
責任がないからこそできることがある。
それが市民活動なのだと思ったのです。
昨日のシンポジウムでは、他にもたくさんのことに気づかせてもらいました。
実践者の話は、いつもたくさんの気づきをくれます。
引き続き、何回か昨日学ばせてもらったことを書いてみようと思います。
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