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2014/05/23

■節子への挽歌2440:胸躍らせる挨拶

節子
先日、福井のシンポジウムで、仏法劇団の合唱座が「還るところはみないっしょ」という演目を演じてくれました。
始まる前に、座長の長谷川さんから、これは実話に基づく話ですとお聞きしていました。
主人公のお名前は、すずきあやこさんでしたので、ネットで調べてみました。
神奈川県にある、浄土真宗立徳寺のホームページ「月々の法話」のなかに、鈴木章子(すずきあやこ)さんのことが紹介されていました。

少し編集して、一部を引用させてもらいます。

鈴木章子(すずきあやこ)さんは、北海道のお寺の坊守さんです。
49歳の若さで乳癌を患い、旦那さんと4人の子どもさんを残してお亡くなりになりました。
ご生前、鈴木章子さんは、「私は癌をいただいたおかげで、仏法に出遭わせていただいた。癌にでもなって自分の命を真剣に考えることがなければ、私は一生気付かずに終わってしまったかもしれないけれども、今は、自分の命の帰る場所があることを仏法に聴かせていただくことができた」と涙ながらに話しておられたそうです。
坊守さんとは、お寺のご住職の奥さんです。
ちなみに、合掌座座長の長谷川さんも、とても気さくな坊守さんです。

鈴木章子さんは、亡くなる2か月前に書かれた「おやすみなさい」という詩を書きました。
こんな詩です。

「お父さんありがとう。また明日会えるといいね」と手を振る。
テレビを観ている顔をこちらに向けて
「おかあさんありがとう。また明日会えるといいね」と手を振ってくれる。
今日一日の充分が胸いっぱいにあふれてくる。
月々の法話には、こう解説されています。
この詩の「お父さんありがとう」の一言の中には20年余りの夫婦として共に歩むことが出来たことへの感謝の想いがあるのでしょう。しかし、「また明日会えるといいね」と、切なる思いで願ってみても、間違いなく明日を迎えることが出来るという生命の保証が無いのです。
今夜お迎えが来るのかも知れないという中で、永遠の別れの思いをこめて「おやすみなさい」と言葉を交わして眠りにつく。幸い朝が迎えることが出来た時には、「お父さん、会えてよかったね」「お母さん、会えてよかったね」と心おどる思いで挨拶を交わされたそうです。
鈴木章子さんは、「46年の人生で、こんな挨拶を一度だってしたことが無かった。健康にまかせて、忙しい毎日の中で、うわの空の挨拶しかしてこなかった。私は癌をいただいたお陰で、今は一度一度の挨拶も、恋人のように胸おどらせて挨拶ができるようになった」と喜びの中で語っておられました。
劇を見ながら、いろんな思いがわきあがりました。
長谷川さんにも、節子のことを話しました。
そのせいか初対面だったのに、とても心が通じ合いました。
きっとまたどこかでお会いできるでしょう。

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