■「企業は人なり」から「企業はカネなり」へ
昨日、経営道フォーラムという集まりがあり、私がささやかに関わったチームの発表会がありました。
そのチームが行き着いた疑問は、「会社に“人”がいなくなっていはしないか」ということです。
人がパーツになってしまっているのではないか。
発表の前に、こんな話をさせてもらいました。
一昨年4月、関西経済同友会の中堅企業委員会が「企業は人なり」という提言を出しました。
「企業は人なり」という言葉を、私は久しぶりに聞いたような気がしました。
日本的経営が盛んだった頃には、「企業は人なり」はまるで合言葉のようでしたが、最近はあまり聞きません。
経営における人の位置づけは大きく変わってしまった気がします。
現在の企業経営において、人はどう考えられているのか。
もちろん、企業の成長発展を支えるのは人材であるという認識がなくなったわけではなく、どこの企業も優秀な人材を確保したり、あるいは人材育成に力を注いだりしていることは言うまでもありません。
しかし、非正規社員の増加や即戦力になる人材の中途採用の広がりなど、人に対する企業の考え方は大きく変わってきているように思います。
同時に、社員の意識も大きく変わっています。
今の会社は、社員の持っている力を十分に引き出す状況になっているかどうか。
会社の元気とそこで働く人たちの元気とはどうつながっているのか。
人を育てるという名目で、人が押さえつけられてしまっていて、自発的に育つ環境がむしろ損なわれていないか。
企業はやる気のある若者たちにとって魅力的な場になっているのか。
そうしたさまざまな問題が、改めて真剣に考えられなければならない時期にあるように思います。
企業経営にとって、戦略も組織も大切ですが、それらを実践につなげるのは「人」です。
その「人」がいなくなっては、経営は成り立たないでしょう。
その大切なことを、最近の日本の大企業は忘れています。
このままでは、日本の企業は衰退の一途だろうと思います。
そうした認識を踏まえて、チームの行き着いた課題は、「人が育つ企業をどうやって実現するか」です。
答は実に明確でした。
それはまた明日。
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