■破滅への一歩は反転への一歩でもある
世論調査によれば、集団的自衛権を指示する人たちが増えてきているそうです。
こうも毎日、「集団的自衛権」と言う言葉を聞いていると、みんな無意識の中で、それを受容する方向に動くことになりやすいですから、報道が集団的自衛権支持者を増やしているともいえるでしょう。
昨今の報道の恐ろしさが、そこにあります。
イタリアの思想家アントニオ・グラムシは、支配にとっては政治的経済的強制力よりも知的文化的指導が効果的だと喝破していました。
覇権を確保するためには、政治的活動だけでなく、国民の合意形成を促進する知的文化的活動が不可欠だと考えたのです。
政治的覇権は知的文化的活動によって覆すことが可能だと言うことですが、同時に、いわゆる市民社会における知的文化的活動を掌握することによって、覇権(支配権力)を確固たるものにもできるわけです。
そこで、いわゆる知識人の言動が重要になってきます。
おそらく必然的に、知識人は「御用学者」と同じように、現体制を守る側に回るでしょう。
なぜなら、そもそも「知識」のほとんどは現体制のもとで形成されているからです。
知識を発展させていくためにも、現体制に依拠していることが効果的です。
いわゆる「原子力ムラ」の知識人たちが、それを明確に証明しています。
グラムシは、注目すべきは「(新聞や雑誌などの出版全般」であり、「図書館、学校、様々なタイプのサークルやクラブ」であると言っていますが、ここに間違いなくNPOも入ります。
こうした「知を創造する」メディアや組織を誰が抑えるかで、社会の命運は決まってきます。
どうやら日本では、グラムシの期待する組織や人たちは、体制のためのものになってしまっているようです。
多くのNPOもまた、いまやサブシステムになってしまっています。
そうした状況をどうすれば、反転できるのか。
間もなく流れは反転するだろうと確信している私にとっては、実に興味深い問題です。
まあたぶん私が生きている間には、その反転は見られないでしょうが、その予兆を感ずることはできるだろうと思っています。
集団的自衛権は、破滅への一歩に間違いありません。
しかし破滅への一歩は、必ずその反作用を引き起こしますから、反転にも通ずる道なのです。
歴史の皮肉さを思わないわけにはいきません。
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