■エルダーソーシング
「高齢者が働くということ」という本に書かれていたことがとても共感できたので、2回にわたって少しだけ紹介してきましたが、もう一度だけ書くことにします。
それは同書で初めて出会った「エルダーソーシング」と言うことについてです。
エルダーソーシングという言葉は聞いたことがありませんでした。
私が知っていた言葉は、「アウトソーシング」くらいでしたが、それとはなにやら発想のベクトルが真逆のような気がしました。
思い込みのせいでしょうが、エルダーソーシングには敬意が含まれているのに対して、アウトソーシングにはどこか切り捨てる発想を感じてしまいます。
著者のリンチは、こう書いています。
アメリカの製造業者は、コスト削減の圧力に耐えかねて国外に生産拠点を移していったが、ヴァイタニードルのオーナー一族はこの圧力に対し、高齢者を雇用する「エルダーソーシング」という解決策を講じているように見える。
ヴァイタニードルの高齢従業員たちへのエルダーソーシングは、自宅にいながらにしてパソコンや電話でパートタイムのサービスを柔軟に提供するアメリカの(特に女性の)労働者たちへの「ホームソーシング」に似ている。ホームソーシングの労働者たちは、所得を得ながら家事をこなせる柔軟性を享受できる。一方でエルダーソーシングの労働者たちは、自分の時間を自由かつ柔軟に使いたいという、高齢者として追求しているライフスタイルを働きながら維持することができる。
そしてこう続けます。
ヴァイタニードルがエルダーソーシングで成功しているのは、ヴァイタから支払われる給料は「補足的」なものだという考え方のおかげである。それと同時に、同社はこの仕事の「補足的」という性質を多数の従業員が評価する長所にしている。つまり、従業員のスケジュールや価値観に合致する柔軟な労働環境をつくり出している。
同書には、「ヴァイタの管理職は、従業員たちがお互いのつながりや一体感を強める取り組み、各種のケアワークなどを是認していると同時に、従業員の柔軟な働き方を頼りにしている」とも書かれています。
ちょっと書き疲れたので、ここの読み解きはみなさんにお任せですが、いずれにもとてもたくさんの示唆があります。
それをどう読み解くかは、さまざまでしょうが、私はこれらの言葉に企業の未来を感じます。
日本にもきっとこういう会社はあるのでしょうね。
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